科研費の審査基準

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科研費改革2018により、審査システムが変わることになりましたが、実質的にはほぼ変わっていませんので、以前のものを引き続き載せておきます。


 

科研費の審査には一次審査と二次審査からなっています。一次審査は4人または6人による書類審査で、二次審査は総合的な調整を主目的とした審査員の合議による審査です。

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採択されるかどうかは、ほぼ一次審査で決まる

科研費の一次審査では、以下の基準に従って各項目で4段階評価、総合で5段階評価で審査されます(挑戦的萌芽は特殊)。ただし各項目ごとの評価はあくまでも参考であり、基本的に総合評点の良し悪しが採否に直結します。

高い総合評点を付す研究課題は、必ずしも、全ての個別要素において高い評価 を得た研究課題である必要はありません。例えば、特段に独創的、革新的な研究課題ではないが、 学術的・社会的に大きな波及効果が期待できるものなどがこれにあたります。 (平成27年度、第1段審査(書面審査)の手引より)

 

審査は相対評価

あなたの申請書を読むのはせいぜい数名です。その数名による評価によって科研費の採否はほぼ決まってしまいます。さらに、審査員が担当する約100課題の中での相対評価で採点されますので、たまたま良い申請書が固まってしまった場合でも、1を付けられてしまう申請書は確実に出てきてしまいます。逆に運が良ければ、内容に反して4や5を付けてもらえるかもしれません。

基盤・若手の場合

評点区分

評定基準

評点分布の目安

5

最優先で採択すべき

10%

4

積極的に採択すべき

20%

3

採択してもよい

40%

2

採択の優先度が低い

20%

1

採択を見送ることが適当である

10%

利害関係があるので判定できない

挑戦的萌芽の場合

評点区分 評定基準 評点分布の目安
AA 最優先で採 択すべき 上位5%
A 積極的に採択 すべき 上位6〜25%

AAの多さ、次にAの多さの順に順位付けされます。同じ場合には、4段階の絶対評価による評点順に並べられます。

審査員ごとの評価のバラつきは二次審査で多少は考慮され調整されますが、それでも大きくは変わりません。すなわち、申請書はたった数人のために書いており、運の要素も大きということを強く意識しておくべきでしょう。

そうした中で、科研費の採択可能性を最大化するためには、内容もさることならがら、「読みやすい」、「おもしろい」、「印象深い」申請書は記憶に残り、審査員が評点を記入する際に大きなアドバンテージとなります。つまり、戦うべき相手はたった100人です。そう考えると少しは勝ち目がありそうですよね(しかも上位30%に入れればそれで良い)。

科研費の基盤A、基盤B、基盤C、若手A・若手Bの審査基準

(1)研究課題の学術的重要性・妥当性

  • 学術的に見て、推進すべき重要な研究課題であるか。
  • 研究構想や研究目的が具体的かつ明確に示されているか。
  • 応募額の規模に見合った研究上の意義が認められるか。

(2)研究計画・方法の妥当性

  • 研究目的を達成するため、研究計画は十分練られたものになっているか。
  • 研究計画を遂行する上で、当初計画どおりに進まないときの対応など、多方面からの検討状況は考慮されているか。
  • 研究期間や経費配分は妥当なものか。
  • 研究代表者が職務として行う研究、または別に行う研究がある場合には、その研究内容との関連性及び相違点が示されているか。 

(3)研究課題の独創性及び革新性

  • 研究対象、研究手法やもたらされる研究成果等について、独創性や革新性が認められるか。

(4)研究課題の波及効果及び普遍性

  • 当該研究分野もしくは関連研究分野の進展に対する大きな貢献、新しい学問分野の開拓 等、学術的な波及効果が期待できるか。
  • 科学技術、産業、文化など、幅広い意味で社会に与えるインパクト・貢献が期待できるか。

(5)研究遂行能力及び研究環境の適切性

  • これまでに受けた研究費とその研究成果を評価し、これまでの研究業績等から見て、 研究計画に対する高い遂行能力を有していると判断できるか。
  • 複数の研究者で研究組織を構成する研究課題にあっては、組織全体としての研究遂行 能力は充分に高いか、また各研究分担者は十分大きな役割を果たすと期待されるか。
  • 研究計画の遂行に必要な研究施設・設備・研究資料等、研究環境は整っているか。
  • 研究課題の成果を社会・国民に発信する方法等は考慮されているか。

 

 

科研費の挑戦的萌芽の審査基準

(1)「挑戦的萌芽研究」としての妥当性

  • 明確に斬新なアイディアやチャレンジ性を有する研究課題となっているか。
  • 下記のような例示を含め、「挑戦的萌芽研究」としての性格付けが明確に行われており、この種目に相応しい研究課題となっているか。
  1. 新しい原理の発見や提案を目的とした研究
  2. 学術上の突破口を切り拓くと期待される斬新な着想や方法論の提案
  3. 学界の常識を覆す内容で、成功した場合、卓越した成果が期待できる研究

(2)研究課題の波及効果

  • 当該分野もしくは関連分野の研究進展に対する大きな貢献、新しい学問分野の開拓等、学術的 な波及効果が期待できるか。
  • 将来的に、科学技術、産業、文化など、幅広い意味で社会に与える革新的なインパクト・貢献が期待できるか。

(3)研究計画・方法の妥当性

  • 研究目的を達成するため、研究計画は十分に練られたものとなっているか。
  • 研究計画・方法に照らして、研究期間や経費の配分は妥当なものか。
  • 公募の対象としていない以下のような研究計画に該当しないか。

二次審査はボーダーラインの調整

第2段審査においては、基本的に、第1段審査の結果を尊重し、採択候補研究課題の調整 を図ることとしています。(平成27年度、第2段審査の手引より)

つまり、二次審査の対象となるのはボーダーライン付近の10-20%の書類のみです。二次審査に関しては申請書の内容はもはや関係ないので、ここでは詳しくは説明しません。

 

採択されるには調整後の評価(Tスコア)で3.6以上は欲しい

あくまでも理論上の話にはなってしまいますが、科研費の採択率を約30%とした場合、評価平均で約3.6がボーダーラインとなります。審査員が4人だとすると、4/4/4/3か4/4/3/3あたりがボーダーとなってしまいます。1人でも2を付ける審査員がいた場合は、ほぼ絶望的です。

評価平均 Tスコア 上位 何%に相当するか
5.0 4.10 3.39
4.8 3.99 5.02
4.6 3.88 7.21
4.4 3.77 10.06
4.2 3.66 13.67
4.0 3.55 18.07
3.8 3.44 23.26
3.6 3.33 29.19
3.4 3.22 35.75
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