修飾語

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修飾語の語順は非常に重要です。順番によっては読みやすさ(認知容易性)が大きく変わってしまいます。なるべく自然に読める順にすることが大原則です。

修飾する言葉とされる言葉が離れすぎない

修飾する言葉は、修飾される言葉のすぐ前にもってくるのが文章の基本です。これらが離れすぎてしまうと、誤った解釈ができたり、一読して意味が取れなくなってしまい、読み手を混乱させることにつながります。

x「私はAがBがCが死んだ現場にいたと証言したのかと思った。」

○「Cが死んだ現場にBがいたとAが証言したのかと私は思った。」

○「私は、Cが死んだ現場にBがいたとAが証言したのかと思った。」

x「オーストラリアの豊かな牧草で育ったジャージー牛」

○「オーストラリアの豊かな牧草で育てられたジャージー牛」

○「豊かな牧草で育った、オーストラリアのジャージー牛」

前の例では、AがBがCがとなっており、一読して文の構造を理解するのは不可能です。それを「Cが」⇔「死んだ現場に」、「Bが」⇔「いた」、「Aが」⇔「証言した」と近くに持っていくことでわかりやすくなりました。「私は」と「思った」は近づけても良いですが、特に申請書の場合は誰がというのは重要です。「私(申請者)」が行った実験であることをアピールするような場合がほとんどですので、そういった場合は一番前に持っていくのが良いでしょう。

 

次の例はそれほど深刻では無いのですが、「オーストラリアの豊かな牧草で育ったジャージー牛」よりは「オーストラリアの豊かな牧草で育てられたジャージー牛」の方が意味の誤解が少ないでしょう。万が一「オーストラリア」⇔「ジャージー牛」と書くつもりの場合は(もしそのつもりで例文を書いているなら日本語能力に問題ありですが)、「豊かな牧草で育った、オーストラリアのジャージー牛」としなければいけません。

 

もういくつか例を見てみます。

x「大阪で初めてディズニーランドを建設した方の講演会が開催されます。」

○「日本で初めてディズニーランドを建設した方の講演会が、大阪で開催されます。」

?「バイクで逃げる犯人を追う警官」

○「バイクで逃げる犯人を、追う警官」

○「逃げる犯人をバイクで追う警官」

修飾する言葉とされる言葉の間に読点を打つことで、両者のリンクを断ち切ることができます。

節(述語を含む複文)を先に句(文節)を後に

x「白い罫線の引かれた厚手の紙」

x「厚手の白い罫線の引かれた紙」

○「罫線の引かれた白い厚手の紙」

○「罫線の引かれた厚手の白い紙」

x「綱渡りのコツは、ゆっくり前を向いて止まらずに歩くことである。」

x「綱渡りのコツは、ゆっくり止まらずに前を向いて歩くことである。」

○「綱渡りのコツは、前を向いて止まらずにゆっくり歩くことである。」

前の例では、「白い」が「罫線に」かかっているように読めてしまうため、誤解を招きやすくなっています。後の例では「ゆっくり」や「前を向いて」が「止まらずに」にかかることで誤解を招きやすくなっています。

つまり、節と句を同時に含む場合、節を先に持ってくることで修飾する言葉とされる言葉の関係をはっきりさせることができます。

長い修飾語ほど先にくる

x「熱心な東京大学大学院新領域創成科学研究科のいい大学院生」

x「いい東京大学大学院新領域創成科学研究科の熱心な大学院生」

○「東京大学大学院新領域創成科学研究科の熱心ないい大学院生」

x「科研費.comは、見やすい初心者でも理解できるサイトです」

○「科研費.comは、初心者でも理解できる見やすいサイトです」

もちろん状況によっては例外もありますが、このルールが強力な点は単なる文字列の長さによって読みやすい語順が決まってしまうことにあります。これは、よく言われている主語と述語を近くせよというルールよりも重要です。

例えば、

x「明日は雨だと長いこと漁師として経験をつんできた私は直感した」

○「長いこと漁師として経験をつんできた私は明日は雨だと直感した」

この例は主部(長いこと漁師として経験をつんできた私は)と述語(直感した)の間に「明日は雨だと」が挟まっているにも関わらず、明らかに読みやすくなっています。

大状況から小状況へ

x「小さな点となって日本列島の上空に花子の放った風船が消えていった」

x「小さな点となって花子の放った風船が日本列島の上空に消えていった」

○「日本列島の上空に花子の放った風船が小さな点となって消えていった」

x「豊かな潤いを萌える若葉に初夏の雨が与えた」

○「初夏の雨が萌える若葉に豊かな潤いを与えた」

修飾語の長さにあまり差が無い場合は、状況や重要さの大きいものから並べると読みやすくなります。ただし、最初の2つのルールに比べると、このルールの重要性はグッと低くなります。



修飾語と読点に関しての詳細は、本多勝一(著)「日本語の作文技術」をお勧めします。

日本語の作文技術を最後にならったのは小学校という方は多いのではないでしょうか。大人になった今こそ、日本語を学び直すことが大切です。特に句読点の打ち方と、修飾語の位置は非常に参考になり、まさに申請書を書く全ての人が必携の一冊となっています。本書で説明されている技術を習得できれば、かなり分かりやすい文章が書けるようになるはずです。さらに、日本語の作文技術について学びたい方には「実践・日本語の作文技術」の方も併せてお勧めします。

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