文章のリズム

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読みやすい文章にはリズムがあります。一定のリズムで文章が読めることは、審査員にとってストレスなく内容を理解できるということであり、もうそれだけで評価したい気持ちになってしまいます。

 

以下では、文章にリズムを持たせる具体的なヒントを紹介します。

句読点と改行を意識する

文章のリズムには句読点が大きく関係しています。句読点は、文の意味を明確するだけでなく、文字と文字の間に物理的なスペースを生むため、審査員が読んだ瞬間に「ここで切れるんだな」と分かることで、理解を助ける効果があります。

また、適切な改行のタイミングもリズムを生む上で大切なことです。改行がないままダラダラと文章が続くと、余白が少なくなり圧迫感が出てきます。圧迫感は視覚的なリズムを損ない、句読点では解消できません。また、改行は申請者が強調したいポイントを審査員に理解して貰うためにも重要です。改行がないと強調したいポイントが他の文章に埋もれてしまい、見つけにくくなってしまいます。

長い文章は分割する

長い文章は文の構造が複雑になり、文章の意味を理解しにくくなります。また、どうしても読点から読点まで(。から。まで)を単位として文章を読もうとするため、長い文章は読み疲れてしまいます。

 

長い文章を2つないし3つくらいに分割することで、文章にリズム感が生まれます。長い文章を区切る目安は接続詞の前で切ることです。

 

同様のことは段落に対してもあてはまります。

 

接続詞を正しく使う。そして使い過ぎない

接続詞の使いすぎ注意

文章の区切りで働く語として、接続詞があります。文章のリズムを整えるとき、あるいは場面転換をするときなど、接続詞は便利な言葉です。しかし、多用するとクドくなりがちです。

学振や科研費などの申請書を書くことは研究活動そのものではない。だから、研究者の中には申請書を書くことを雑用と位置づけている人もいる。しかし、申請書によって研究費を獲得することで研究を続けることが可能となる。そして、研究の成果を論文にして再び申請書を書く。したがって、申請書を書くことも広義では研究活動だと言える。

 

この例文では接続詞を多用しています。接続詞の役目は、本文が表している意味を強調するためのサポートに過ぎません。接続詞を一部、取り除いてみるとどうなるでしょう。

学振や科研費などの申請書を書くことは研究活動そのものではない。研究者の中には申請書を書くことを雑用と位置づけている人もいる。しかし、申請書によって研究費を獲得することで研究を続けることが可能となり、研究の成果を論文にして再び申請書を書く。つまり申請書を書くことも広義では研究活動だと言える。

これで、だいぶすっきりしました。 論理的に文章を書こうとすると接続詞を使いたくなりますが、接続詞の多用は文章の流れを断ち切り、リズムを壊します。最小限の使用を心がけてください。
 

接続詞を正しく使う

「申請書を書くことは大変である。しかし、締め切りは5月上旬だ。」

一見問題無いようですが、申請書を書くことの大変さと締め切りは必ずしも対比できるものではありません。「しかし」を「が」に置き換えると、さらに間違いに気づきにくくなります。
 

「申請書を書くことは大変であるが、締め切りは5月上旬だ。」

この「が」は逆接としてではなく単純接続として用いられています。「今日は晴れでしたが、明日も晴れでしょう」と言われると気づくかもしれません。もっとはっきりと間違いである例を紹介します。
 

x「本講座は本年2月に実施しましたが、好評でしたので来年も行います。」

○「本講座は本年2月に実施しましたが、不評でしたので来年は取りやめます。」

 

文と文のつながりが正しいか見直す

申請書で最も大切なことは、読みやすい文章です。研究者は申請書を書くことにより研究費を獲得し、研究しています。申請書を書くことを苦手とする研究者は多いですが、研究のことを考えなおすよいきっかけとなります。

どうでしょうか。結局のところ、何が言いたいのか分からない文章だと思います。学生が書いてくる申請書を読むと、このような文章が往々にして見られます。

 

個々の文章は問題無いのですが、文と文のつながりがはっきりせず、話があちこちに飛んでいることが問題です。上記の例に適切に言葉を補い、順番を変えると以下のようになります。赤字は補ったところです。

研究者は申請書を書くことにより研究費を獲得し、研究しています。こうした申請書を書く上で最も大切なことは、読みやすい文章です。読みやすい文章を書くのにはコツがいるため、申請書を書くことを苦手とする研究者は多いですが、研究のことを考えなおすよいきっかけとなります。

 

リズムの悪い文章は文と文がつながっていない

読みにくい文章の共通点としては、それぞれの文章のつながりが自明でないないことが挙げられます。先ほどの例文でも、言葉を補えばわかりますが、省略されているところ想像しながら読むのは非常に大変です。

 

読みにくいな文章とは、「明らかに文法がおかしい」文章というわけではなく「文と文の関係がわからない」文章です。「文と文のつながりを意識する」というだけで、リズムのある読みやすい文章に変わります。

 

断定する

文章にリズムを持たせるシンプルな方法としては、断定することです。特に申請書では「〜と言われている。」や「〜という可能性が示唆されている。」などの弱い表現が続くとマイナスの印象になってしまいます。

実際には多少の例外があり100%そうではないとしても、言い切ってしまうことで、文章にリズムと切れ味を生み出せます。もちろん、明らかな間違い・嘘は良くありませんが、問題や結論の単純化は申請書を読みやすくするための基本です。ただし、申請者本人は問題がそう単純ではないことを十分に認識し、実際の研究においては最新の注意を払うべきです。

同じ文末は3回以上繰り返さない

申請書の書き方は重要です。特に、これから研究者になろうという方は身につけておきたいスキルです。色々と応用が聞くので便利です。教員公募書類にも応用が可能です。

文末が全て「〜です。」となっているため、非常に単調で幼稚な印象を受ける文章です。文末を工夫することで、簡単に回避できます。

申請書の書き方は重要です。特に、これから研究者になろうという方は身につけておきたいスキルではないでしょうか。色々と応用が聞くので便利ですし、教員公募書類にも適用できます。

読みなおすと句読点を打つリズム感がつかめる

できあがった文章は、最低でも1-2日、できれば一週間は寝かせましょう。そして自分でも書いた内容を軽く忘れかけたころにもう一度、文章を頭から読んでください。

 

黙読の場合

注意するのは自分の視線です。目で文章を追っていくときに、視線が止まったり、戻ったりするような箇所は、審査員にとっても分かりにくい場所です。そのような場所がなくなるまで、何度も推敲を繰り返して下さい。

 

音読の場合

黙読よりも問題箇所がわかりやすいかも知れません(研究室だと恥ずかしいですが)。自分の書いた文章を音読することで、リズムの良し悪しを確認することができます。黙読に比べて音読はより能動的な行為のため、リズムの悪い部分を客観的に気づくことができます。

音読する際に確認したいのは、句読点の数や位置に違和感がないか、同じ言葉が繰り返されて表現がくどくなっていなか、文と文のつながりは論理的か、などです。

先に挙げた、単語が行をまたがないようにするというのも読むリズムを大切にするためのものです。



本多勝一(著)「日本語の作文技術」には『リズムと文体』や『作文「技術」』などの章もあり、こちらも一読をお勧めします。

これらに関しては、申請書を書く技術という点では少し外れるかも知れません。しかし、日本語の作文は申請書だけにとどまりません。少なくとも日本では、昇進するにしたがって実験時間は減り、代わりに作文の時間が長くなっていきます。美しい日本語を手早くかける技術は身につけておいて損はありません。さらに、日本語の作文技術について学びたい方には「実践・日本語の作文技術」の方も併せてお勧めします。

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