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概要

忙しい審査員がざっと内容を見るために概要を読みます。そのため、背景、目的、計画、インパクトをバランス良く書きましょう。10行程度という注意書きに従っていない例が多いので注意してください。

申請書 上部の注意書き

科研費 別冊(応募書類の様式・記入要領)
(1)「研究目的、研究方法など」欄
今回応募する研究計画において何をしようとしているのか、その全体像を明らかにするため、
研究計画調書に記載している指示に従って概要を含め記述すること。概要については、10行程度で記述すること。

科研費 留意事項:
科研費は、研究者の自由な発想に基づく全ての分野にわたる研究を格段に発展させることを目的とし、豊かな社会発展の基盤となる独創的・先駆的な研究を支援します。

科研費では、応募者が自ら自由に課題設定を行うため、提案課題の学術的意義に加え、独自性や創造性が重要な評価ポイントになります。このため、「基盤研究」及び「若手研究」の研究計画調書様式では、学術の潮流や新たな展開などどのような「学術的背景」の下でどのような「学術的『問い』」を設定したか、当該課題の「学術的独自性や創造性」、「着想に至った経緯」、「国内外の研究動向と本研究の位置付け」はどのようなものか、などの記述を求めています。

書き方の解説

概要の流れ

記入要領にあるように、以下の内容をまとめて10行程度(程度なので11-12行くらいまでは許容範囲)で書く必要があるので、各項目はせいぜい1-2行程度です。また、本文とまったく同じ文章の使い回しにならないように、表現は工夫してください。
  1. 研究領域全体の学術的背景
  2. 本研究計画が関連する分野の学術的背景・これまでの取り組み
  3. 本研究で挑戦する課題・学術的「問い」(・弊害)
  4. 本研究計画の目的
  5. (研究計画の概要)
  6. 研究がもたらすインパクト

研究領域全体の学術的背景

研究領域の概況と研究の重要性について簡単に書く。導入なので、ここは1行で十分。
  • ○○○は○○○療法のキードラッグとして広く使用されている。
  • ○○○は、○○○において唯一、化石エネルギーを代替できる再生可能エネルギーである。
  • がん免疫療法は、○○○を活性化することで抗腫瘍効果を発揮する。
  • ○○○や○○○など様々な原因により免疫機能が低下すると、免疫系と○○○のバランスが崩れ、○○○が発症する。
  • 深刻な○○○不足に悩む○○○では、ロボットによる自動化・省力化が急務である。
  • ○○○は、和食の文化と○○○による発酵が融合した伝統食品である。2013年に「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録され、○○○は世界的にも知られるようになった。
  • ブレーザーは、活動銀河の中心のブラックホールから噴出される宇宙ジェットを正面から見た天体である。

本研究計画が関連する分野の学術的背景・これまでの取り組み

今回の研究に関する背景およびそれに関してこれまでの取り組み・成果について説明します。概要はすぺーすも限られているので引用文献は不要です。
  • なかでも○○○は、○○○であり、これまで○○○や○○○がなされてきた。申請者らも、○○○の○○○に関わる因子を明らかにし、○○○の新たな役割を提唱してきた。。

本研究計画で挑戦する課題・学術的「問い」(・弊害)

上記の「本研究計画が関連する分野の学術的背景・これまでの取り組み」は、これまでの到達点、成功してきたことです。ここでは、その一方で何が未解決なのかについて指摘します。そして指摘した以上はそれに(その一部分に)取り組む必要があるので、あなたが扱える範囲で最も価値のある問題にしましょう。大きすぎても小さすぎてもダメです。また、その課題がなぜ価値があるのかについても一言添えておくと良いでしょう。
  • しかし、○○○の理解が大きく進んだ一方で、○○○における○○○については、20年以上進展がなかった。なかでも○○○が○○○であるかは、これまでの技術では○○○が難しかったこともあり、不明のままである。そのため、いまだに効率の悪い○○○が主流である。
  • 近年、多くの遺伝性疾患の原因となる○○○の正常化を標的とした治療法が開発されつつある。しかし、○○○症候群では原因○○○の機能を評価し、創薬に利用するための有用なモデルは存在せず、開発スピードは極めて遅いものであった。

本研究計画の目的

「○○○することを目的とする。」とは欠かないようにしてください。「何かをする」ことは目的を達成するための手段であり、目的そのものではありません。また、「がんの撲滅を目的とする」など大きすぎる目的は分野全体の目標あるいはあなたの研究者としての目標であり、本研究計画での目的ではありません(絶対に到達できないので)。
短い中にも、方法の概要(戦略)があるとなお良いです。
  • そこで本研究では、申請者らがこれまでに明らかにしてきた○○○をもとに、○○○を○○○することで、○○○を明らかにすることを目的とする。
  • 本研究では、これまで○○○であった○○○を中心に、○○○で利用されている○○○を取り入れることで、○○○を○○○の観点から明らかにすることを目的とする。

研究計画の概要

本研究の目的のところでは全体的な方針(戦略)を含めますが、計画部分ではその戦略を実現するための計画(戦術)を書きます。とはいえ、ここは概要欄ですのであまり具体的に書くスペースもありませんし、書いてしまうと後の内容と被ります。3つの研究項目の内容をチラ見せするくらいで良いでしょう。
  • 具体的には、1)○○○による○○○の探索、2)○○○…を行う。
  • とくに、○○○を○○○することで、○○○を明らかにする。さらに、○○○については、○○○を実施し、○○○である可能性を検証する。

研究がもたらすインパクト

この研究の意義を示すため、この研究がどのようなインパクトを持つのかを示しましょう。ここも目的と同じで、いくら展望だからといってこれで全てが解決するかのように書いてしまうとバランスがとれません。
  • これにより、○○○の作用機序が明らかにでき、○○○の予防法の確立にむけた重要な基盤的な知見が得られると期待される。
  • これにより、遠隔授業で活用可能な○○○とその効果を定量的に評価することが可能となる。

書き方例

始原生殖細胞は機能的・形態的に異なる配偶子に分化し、それらが接合することにより発生能を発揮する受精卵になる。(研究領域全体の学術的背景)

生殖細胞への分化はDNAメチル化やヒストン修飾などのエピジェネティック修飾によって遺伝子発現のオン/オフが切り替えられている。卵子および精子のDNAメチル化には○○○と○○○がそれぞれ関わっており。申請者は○○○が○○○であることを明らかにしてきた。(本研究計画が関連する分野の学術的背景・これまでの取り組み)

○○○自身の制御に関わる因子は未解明であったが、申請者は○○○が○○○に関わることを見出している。(本研究計画で挑戦する課題・学術的「問い」(・弊害))
or
しかし、○○○については未解明のままであり、○○○を制御できず○○○の解明を困難なものにしていた。(本研究計画で挑戦する課題・学術的「問い」(・弊害))

そこで本研究では、○○○と○○○のアプローチにより、1. ○○○の機能解明、および、2. ○○○の転写制御メカニズムの解明を目的とする。(研究計画の概要)

本研究により、○○○の○○○に大きく寄与すると期待される。(研究がもたらすインパクト)

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