読みやすく、おもしろい申請書であれば採択の可能性は高いといえます。しかし、さらに審査員に強くアピールし、より採択に近づけるためには、印象深い申請書に仕上げることが欠かせません。
(1)鮮やかな解決法と充実したデータで印象的に
すでに説明したように、審査員は大量の申請書を抱えていますので、凡庸な申請書では印象に残りません。最初のうちはちゃんと読んでいても中盤から終盤にかけてはどうしても集中力が途切れがちです。そういった時に、申請書の中盤に出てくる鮮やかな解決方法(研究のアイデア)や終盤に出てくる充実した予備データ(研究計画)には、審査員の集中力を取り戻す力があり、申請書の再評価につながります。
最初の数行に魂を込めろというアドバイスはしばしば見ますが、それだけでは十分ではありません。もちろん掴みも重要なのですが、本当に力をいれるべきは中盤〜終盤です。序盤は申請者本人も審査員も気合が入っているので、基本的な方向性さえ合っていればそこまで酷いことにはなりにくいです。
(2)図でわかりやすく伝える
わかりやすい図を入れることは理解の助けになりますし、申請書にメリハリをつけることができます。1ページにひとつ弱くらいを目安に図を入れるようにしましょう。ただし、わかりにくい図や適当に描いた(と思われてしまうような)図は逆効果です。
プロのイラストレーターが描くような美しい図である必要はありません。シンプルでわかりやすい図を描くことはPowerPointでも十分に可能であり、ちょっとした工夫とコツですぐにできます。
(3)前向きワードでポジティブに
同じ内容を表現するにしても、その表現方法は多種多様です。これまでの研究成果や予備データを示す際に、後ろ向きな単語を書かないようにしましょう。英語等では”positive words list”などが存在し、申請書に使うことが勧められていますが、日本語ではまだそうしたことは徹底されていません。うっかりすると忍び込んでくるネガティブマインドを一掃し、ポジティブな申請書になるように意識して書きましょう。その研究を一番良く知っている申請者自身の評価が今ひとつな申請書を、審査員が高く評価するはずがありません。
(4)キャッチフレーズで印象的に
申請書は広告ではありませんが、伝えたいメッセージを短く覚えやすいフレーズにするという考え方はキャッチコピーに通じるところがあります。どんなに複雑な研究であっても、本当に伝えたい(やりたい)ことは短いフレーズで表現できるはずですし、そうしないと審査員には伝わりません。余計なものを削り落とし、エッセンスだけを取り出したうえで、キャッチフレーズ化してください。