実験は予想通りには行かないことを審査員は知っています。その場合でも、代替案があれば、計画の実現可能性は高いとみなされるでしょう。
代替案には、どちらに転んでも良い問題を扱う、主張を限定する、別原理による手法を提案する、方針を変更するの4種類があります。
ポイント1:やれば必ず答えがでる課題を入れる
「おもしろい研究とは何か」でも説明しますが、YesかNoのどちらであるかを知ること自体が重要なケースにおいては、どちらに転んでも失敗はありえません。そういった確実に結果を期待できる実験を少なくとも1つ加えることで、研究計画全体に安心感が生まれます。
ポイント2:ほぼ確実にできることを課題にいれる
ポイント1と考え方は同じです。現時点で、ほぼ確実にやればできることを課題に加えておくことで、他がうまくいかない場合の保険となります。しかし、つまらない研究(だいたい予想されていた通り)と表裏一体ですので、研究計画全体の1つにだけに留めておく方がよいでしょう。
ポイント3:挑戦的な課題は、バックアッププランも示す
挑戦するのは最も成功する可能性が高いと考えられる手法であるのは当然ですが、それがダメな場合でも次に可能性の高い手法については用意しておくべきです。なるべく異なる原理である方が良いでしょう。
ただ、あれもこれも盛り込んでしまうと逆に実行性が低いとみなされかねませんので(個人型研究なので)、メインの手法1つとバックアッププランくらいで良いでしょう。可能であればバックアッププランが機能する根拠についても述べておいた方が良いかもしれません。
手堅いだけの研究には面白みがありませんので、バックアッププラン付きの挑戦的な課題をメインとして加えることが重要です。
ポイント4:一本足打法にならないようにする
ある研究計画が成功しないと、その後の研究が止まってしまう様な研究、例えば「変異体を取得し、それを解析する」という計画の場合、最初でコケてしまうと後はやれることがありません。
いくら変異体の取得方法にバックアッププランを提示しても、そもそも変異体がとれないかもしれないので、非常にリスクのある研究計画となってしまいます。既に変異体候補が得られているとか、変異体を持っているのであれば別ですが、そうでない場合は、問題となりそうな実験を回避する計画案も併せて提示することが必要です。
まとめ
1.挑戦的な課題と確実に成果を期待できる課題をバランスよく設定する
2.挑戦的な課題に取り組むときは、うまく行かなかい場合の代替実験を提示する
3.1つの課題の成否がプロジェクト全体の成否につながらないように計画する