申請書を読みやすくする 2023.07.072023.12.14 ほぼ同じ内容を伝える日本語の文章であっても、読みやすい文章と読みにくい文章では審査員の理解度が異なります。そして、理解できないものは評価しようがありません。申請書に書く内容がほぼ固まったきたら、読みやすさにも意識して推敲を重ねましょう。 ポイント 読みやすい文章は、審査員が申請者の主張を額面通り受け取ってもらえる可能性が高まります。つまり申請書の内容について納得してもらいやすいということであり、この効果は馬鹿にできません。とくに分野外の申請書の審査にいおて、審査員が「わかった気になる」ことは高評価を得るうえで非常に重要であり、そのためには、読みやすい申請書であることは必須の条件です。 フォントの重要性学振や科研費などの審査員は大量の申請書を読まなければなりませんので、読みやすい申請書はそれだけで評価が高く、フォントはとくに重要な役割を果たします。 フォントサイズ 審査においては多数の応募研究課題が審査に付されることを考慮し、本文は 11... フリーフォント学振や科研費の申請書に使える基本のフォントは以下の通りです。 Mac ヒラギノ角ゴシック、ヒラギノ明朝、游ゴシック体、游明朝体、Times New Roman, Helvetica Neue Windows 游ゴシック(游ゴシックMediu... フォントの過剰修飾はお勧めしない「審査員にアピールするために目立たせるべし」みたいなアドバイスが溢れていますが、やりすぎは読みにくくするだけです。特にフォントの過剰な装飾は、申請書を劇的に読みにくくします。 フォントの過剰な装飾は読みにくい 太字・Italic・アンダーラ... 行間を調節する読みやすい文章の秘訣は適度な余裕です。紙面をびっしりと文字で埋め尽くしてしまうのは良い選択肢ではありません。適切な行間を保つことで格段に読みやすくなり、一般的にはフォントサイズの1.4倍~1.8倍(余白部分はフォントサイズの0.4から0.8... 行頭・行末を調節する行末を調整する 文字間は通常ほとんど設定する必要がありませんが、行末の単語を調整する時に必要になってきます。 例えば次の文章を読み比べてください。 一瞬、本来の意図とは異なる解釈をされてしまう例 意図した通りに理解してもらえる例 上の例のよ... 修飾語修飾語の語順は非常に重要です。順番によっては読みやすさ(認知容易性)が大きく変わってしまいます。なるべく自然に読める順にすることが大原則です。細かな修飾語のルールは他の本やサイトに譲るおとして、ここでは基本となる4つのルールについてのみ紹介... 読点添削の経験からは、読点が多すぎるよりも少なすぎるケースの方をよく見かけます。読みやす文章には、あなたが思っているよりも多く読点が登場します。もちろん、何でもかんでもブチブチと切れば良いというわけではありませんが、意識して読点を打つことで、わ 文章のリズム読みやすい文章にはリズムがあります。一定のリズムで文章が読めることは、審査員にとってストレスなく内容を理解できるということであり、もうそれだけで評価したい気持ちになってしまいます。 以下では、文章にリズムを持たせる具体的なヒントを紹介します 言葉の選び方読みやすい申請書の大原則は、シンプルな言い回しを使うことです。簡単な語で間に合うときは、難解な言葉を使ってはいけません。日本語がある場合は(カタカナ)英語を使ってはいけません。ありふれた考えをもったいぶった言葉で表現すると、知性が乏しく信憑 漢字かな比表現するときには常に複数の選択肢があります。日本語の場合、同じappleに対して、「林檎」、「りんご」、「リンゴ」と様々な表現が可能です。ここでは、どのように言葉を選べば良いのかの指標を説明します。 漢字・ひらがな・カタカナはバランス良く ... ら抜き言葉「ら抜き言葉」が問題視されてから久しく、だいぶ問題意識が浸透してきたと共に、「ら抜き言葉」を擁護する立場の人も増えてきました。 ら抜き言葉の良し悪しは別として、審査員の中に強烈な「ら抜き言葉」否定派がいないとも限りませんし、(現時点では)美... 申請書での言葉づかい特に申請書を書き始めの学生などは、話し言葉のように書いたり、やたら難しい表現を使ったり、適切な言葉遣いに苦労しているようです。また、内容をわかりやすく説明しようと余計な言葉を付け足した結果、かえって読みにくくなるといった例も見られます。 こ... #科研費のコツ82 接続詞の使い過ぎに注意接続詞は文章の転換点で用いますので、多用すると読みづらくなります。文のロジックがしっかりしていれば、接続詞を省いても意外とすんなり読めるものです。 ロジカルに書こうとするあまり、接続詞を多用している人は注意です。 #科研費のコツ 82ロジカ... #科研費のコツ85 申請書はプレゼンテーションとは違う本サイトもその1つですが、申請書やプレゼンテーションのノウハウについては巷に情報が溢れています。申請書とプレゼンテーションには共通点も多いですが、それでもやはり別物です。プレゼンテーションのノウハウを咀嚼せずに申請書に適用するとうまく行きま... #科研費のコツ88 内容は極力シンプルに審査員はあなたの研究分野に詳しくありませんので、「登場人物」は極力少なくするべきです。遺伝子名、具体的な日時、細かい手順etc それらは申請書の内容を大体理解する上で本当に必須ですか?多すぎる情報は、本当に伝えたいことを隠してしまいます。 ... #科研費のコツ89 文が長すぎない、短すぎない1つの文は長すぎず、短すぎずが基本であることは全員が知っていますが、実際の申請書ではなかなかその通りにはいかない部分です。 文が長すぎる 全ての長文がそうではありませんが、一般的には長文は文章構造が複雑になり、審査員は文章の情報を整理しにく... #科研費のコツ97 強調の使い過ぎに注意強調とは、下線や太字、枠囲み、網掛けなど他と異なることをして、そこに視線をとどまらせることで内容を強調するという手法です。多すぎる強調は他との差が小さくなり、強調としての効果は薄れていまいますし、黙読の流れを止めてしまうのでフラストレーショ... #科研費のコツ105 まずい申請書の4パターン内容的にまずい申請書は大抵この4パターンのどれか、あるいは組み合わせです。 扱う問題に重要性がないパターン 着想に根拠がないパターン 着想・計画がくだらないパターン 研究計画があいまいなパターン 扱う問題に重要性がないパターン 研究とは、未...