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エフォートの基本的な考え方

エフォートとは

エフォート(Effort)とは「努力・尽力」を意味する英語に由来していますが、研究の世界では以下のように定義されています。

研究者の年間の全仕事時間を100%とした場合、そのうち当該研究の実施に必要となる時間の配分率(%)

*「全仕事時間」とは研究活動の時間のみを指すのではなく、教育活動や医療活動を含めた実質的な全仕事時間

集中と選択の名の下に特定の研究者へ重点的に研究費が配分されるようになりました。一方で、そうした過度な研究費の集中に対して批判が起きたことからエフォートが導入されました。

余談ですが、ライフサイエンスの場合は研究費が1億円くらいまでは、資金と業績は比例するそうですが、それ以上はマネージメントの限界を超え、頭打ちになる傾向があるそうです。もちろん、そんなに貰える人は一握りなので、この情報を知ったところでどうなるわけではありませんけれど。

エフォートの基本的な考え方

アメリカの場合は自分の給与を研究費からも出せますので、どこにどれくらいの時間を割くかは非常に重要な問題です。しかし、日本の場合はそうではありません。

日本におけるエフォートとはずばり「熱意」を数字にしたものです。

プロジェクト雇用の場合は半分以上の時間は本来の業務に時間を割くべきであるという考えから50%以上(学振PDの場合は60%以上)のエフォートを求められます。雇用主への熱意の表れというわけですね。ただし、プロジェクトに100%のエフォートを割り振ったからと言って給与が上がるわけでもなく、その他の研究費の獲得チャンスを失うだけですので得策ではありません。

一方で、機関によってはかなり厳格にエフォート管理をしていて、専任教員(50%以下)・博士研究員(10%)のように決められているところもあるようですので、迷ったら相談することが重要です。日本におけるエフォートは熱意の表明であることを考えると低すぎるエフォートは不利な気がします。

また、大型研究費(年間1千万以上が目安)の場合も、そこに全力を投入するという意味で50%を超えるエフォートを設定することがあります。80%を割り振った人も知っています。これは配分機関に対して、熱意をもって研究へ取り組むことをアピールしていることになります。

上記以外の場合は、基本的には申請する研究費の総額に比例してエフォートを設定することになります。10%~30%ぐらいの間に設定している人が多いのではないでしょうか。また、特にルールがあるわけではないのですが、多くの人が5%単位で設定していると思います。時々、1%単位で調整している人を見ることがありますが、それでも、もちろん構いません。

教育などの研究外のエフォートについては5%~15%くらいにしている人が多いようです。教育メインのポジションの場合はもう少し割かないといけないかもしれません。ここに何%と書いたからといって、教育が免除になるわけでもないので、多くの人が適当な数字を書いているのが実態でしょう。また、研究費申請にエフォートを取られることを考えると研究以外のエフォートは最低ラインにしている人が多いのではないでしょうか。

まとめ

大型研究費の場合、エフォートは熱意の表明として使えるため、それ以外でのエフォートをセーブすることが大切です。つまり、通常の科研費申請や研究以外のエフォートなど、何%に設定しようとも特に問題にならないような場合には(問題視されない範囲で)極力低く申請することが戦略上重要になってきます。普通は、20%~30%を書いておけば間違いないでしょう。

このように、エフォートは正直なところ数字合わせの側面が強く、そうした問題点はすでに指摘されています(例えば、研究機関における公的研究費の管理・監査に関する検討会(第8回) 議事録)。あまり意味がないわりに面倒なので、廃止するか、実態に合わせた運用を期待したいところです。



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