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おもしろい研究テーマの見つけ方

ROBUST Japan

おもしろいテーマ = 問題の重要性 ☓ どれくらい理解できたか (☓ かかる時間 ☓ 多様性)です。

おもしろい研究テーマとは問題の価値が高く、かつ、達成度(解の質)が高いと見込まれるテーマです。選択可能なテーマ(黒丸)は数多くありますが、実際に取り組む価値のあるテーマ(赤丸)は少ないことがわかります。

 


日本人は特に解の質にこだわり、問題の価値を重要視しない傾向にあります(左上)。しかし、普通の石をどんなに磨いても、宝石にはなりません。

問題の価値

重要な問題 =

  • 未だ意見が対立しており、決着のついていない問題
  • これまでの考え方を根本から見直さないといけない問題
  • これからの研究の方向を決定づける問題

ですが、どのようにして価値のある問題を見つけるかについては、残念ながら具体的な方法ははありません。明らかにくだらない問題はすぐにわかるかと思いますが、ある程度以上になってくると重要さに優劣はつけにくくなってきます。

食べられる果物とそうでない果物を区別することは簡単ですが、リンゴとブドウのどちらがおいしいかを決めることは難しいようなものです。こうなってくると、基本的には言ったもん勝ちの世界になります。

審査員は全然違う問題を扱った多数の申請書の中で優劣をつけないといけませんが、「これは解く価値があるけど、こちらは解く価値がない」と断じられるほどの自信を持っている人はいません。そうなると、いかにして、この問題が重要なのか、解く価値があるのかの説得の仕方、審査員の納得度が大きな割合を占めます。

上に挙げた重要な問題の3つの指針は全て「だから、この問題を解決しないといけない」と審査員に訴えかけるという点で説得力があります。本質的な重要度は誰かが決められるようなものでもありませんし、私たちは最後まで重要度を知ることができないでしょう。だからこそ、「XXXという理由でYYYは重要である」と説得せねばならず、その説得がうまくいき審査員を含む多くの人が納得する問題提起が重要な問題であると見なされるにすぎません。

ですので、何が重要な問題なのかについて考えすぎることに意味はなく、ある程度以上重要な問題であるのであれば、その重要性をどう説明するかを考えた方がうまくいきます。

その際には

様々な視点から見てみる

あなたが扱う問題は、ある分野の大問題を解決するものかもしれません。こういったことは誰も教えてはくれませんので、自分でアンテナを広げてリサーチしておく必要があります。

他の人も問題と考えている

アイデアは大抵の場合、被り、繰り返されます。あなたが扱う問題は他の人も扱っている(きた)かもしれません。他の人も重要だと思っていること自体は問題の重要性を示す根拠になります。ただし、その解決方法が他の人とは異なる必要があります。同じ問題に同じように取り組んでいては独自性が全くありません。そんなものは、他の人に任せてしまいましょう。

新しい価値を生み出せないか考えてみる

一つの問題だけを解決するより、多くの問題を解決する研究の方が価値があるのは明らかです。オズボーンのチェックリストを技術ではなく、アイデアやコンセプトに対して適用すると、良い問題を思いつくことができます。私自身は特に以下の(1)転用と(8)逆転を好んで使っています。

オズボーンのチェックリストとは、ブレーンストーミングを作ったアレックス・F・オズボーンが作った発想法で、あらかじめ準備したチェックリストに答えることでアイデア発想する方法です。オズボーンのチェックリストは以下の9つがあります。

1.転用

新しい使い道は?他分野へ適用はないか?       

2.応用

似たものはないか?何かの真似はできないか?

3.変更

意味、色、働き、音、匂い、様式、型を変えられないか?

4.拡大

より大きく、強く、高く、長く、厚くできないか? 時間や頻度など変えられないか?

5.縮小

より小さく、軽く、弱く、短くできないか? 省略や分割できないか?何か減らすことができないか?

6.代用

人を、物を、材料を、素材を、製法を、動力を、場所を代用できないか?

7.再利用

要素を、型を、配置を、順序を、因果を、ペースを変えたりできないか?

8.逆転

反転、前後転、左右転、上下転、順番転、役割など転換してみてらたどうか?

9.結合

合体したら?ブレンドしてみたら? ユニットや目的を組み合わせたら?

 

解の質

データを積み上げることは必ずしも解の質の向上にはつながりません。簡単にできること≠示すべきことであることは良く意識する必要があります。主張のコアとなるデータがどこにあるのかを見極め、そこについてしっかりとしたデータを足すことで解の質は上げることが可能です。

とは言え解の質の上げ方は皆さんしっているとおりです。仮想レビューワーのツッコミに耐えられるようデータを補強していけば、自ずと解の質は上がっていきます。私はよく、自分をすごく嫌っている人がレビューワーだった時に何を言われるかを想定して対策をとるように言っています。

かかる時間

しかし、解の質をいたずらに追い求めることは効率(あとの時間)という点では不利に働きます。テーマの面白さは掛け算ですので、そこそこの完成度であっても素早く世にだした方が良い場合も多くあります。まさにQuick & Dirtyです。データを補強することだけを最優先にしたために、もっと質の低い論文を先にだされた、すでにブームが去って研究の価値がなくなっていた、世に出すタイミングを逃したというような話はあちこちで聞きます。私にとっても耳が痛い話ですが、そこそこで妥協することも重要な要素です。トップジャーナルに狙う時はもちろん妥協できませんけど、それでも旬を逃さないことは重要です。

多様性

新しい技術、新しい発想、新しい組み合わせなど、人と同じことはしないぞと意識するだけで多様性は生み出せます。こうした独自のアイデアもオズボーンのチェックリストで生み出せますね。

まとめ

問題の価値が十分に高く、現在の技術でギリギリ解けそうな問題を探すことに尽きます。もちろん、そこそこの時間内で解決できそうであることや、オリジナリティがあることも重要です。

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