フォントの重要性

学振や科研費などの審査員は大量の申請書を読まなければなりませんので、読みやすい申請書はそれだけで評価が高く、フォントはとくに重要な役割を果たします。

フォントサイズ

審査においては多数の応募研究課題が審査に付されることを考慮し、本文は 11 ポイント以上(英語の場合は 10 ポイント以上)の大きさの文字等を使用すること。

令和6(2024)年度基盤研究(A・B・C)(一般)、若手研究研究計画調書作成・記入要領

10ポイント以上の文字で記入してください。
注釈等の記載も同様です。なお、フォントの種類、行間の高さ等、それ以外の設定に関する規定はありません。

令和6(2024)年度採用分特別研究員申請書作成要領(PD)

科研費のフォントサイズは10.5pt以上だった時代もあり、少しずつ変化していますし、学振と科研費では要領の記載内容が少し違っています。

申請書におけるフォントサイズは11ptが基本

10ptの文字はやや小さく、読みにくさを伴います。学振で文字量が多い場合は10-10.5ptとするしかないでしょうが、あまり好ましくはありません。注釈も10pt以上である点には注意が必要です。

12pt以上は大きすぎであり、限られた申請書のスペースに十分な内容を書くことができません。また、やや間延びした印象になってしまいます。

こうしたことから、申請書において可読性とある程度の分量を書くことが可能な11ptのフォントサイズを推奨します。もし、あまり書けることが多くない場合は、11.5ptでも良いかもしれません。余白を作るのは良くありません。

こうしたことから、当サイトではフォントサイズのお勧め順を
11pt > 11.5pt > 10.5pt, 12pt
としています。

ポイント

申請書でのフォントサイズは全体を通して統一する必要があります。色々な大きさのフォントを使うと統一感がなくなり、読みやすさという点では不利に働きます。見出しを大きめのフォントで書く人もいますが、あまりお勧めしません。

11ptで書き始めてフォントサイズを10.5ptに落としたくなったら(そうしないと収まらないなら)、それは文章の内容を見直す合図です。フォントサイズを変更するより先に、文章をシンプルにすることを考えましょう。

フォントサイズを固定することを大前提とすることで、余計なことを書けなくなるため、必然的にシンプルな表現になりわかりやすくなるというメリットもあります。

ただし、同じフォントサイズでもフォントの種類によって見た目の大きさは若干異なりますので、実際に印刷して確認するようにしてください。

フォントの種類

Microsoft WordのデフォルトであるMS明朝やMSゴシックはあまり美しくありません(特にMSゴシックの英数字はひどいです)。読みやすさと美しさを兼ねたフォントを選ぶ必要があります。

一方で、MacとWindowsのようにOSが異なると使えるフォントが変わってきます。たとえば、Macのシステムフォントであるヒラギノ書体は非常に美しいフォントですが、通常のWindowsにはインストールされていません。PDF作成時にはフォントを埋め込むとはいえ、万が一ダメだった時の場合でも不自然にならないようなフォントを選ぶことが大切です。

無料で使えるフォントの使用を前提に考えると、以下が現実的な選択肢でしょう。

日本語用のフォント

OS明朝体/セリフ体ゴシック体/サンセリフ体
Macヒラギノ明朝
游明朝体/YuMincho
Noto Serif Japanese
ヒラギノ角ゴシック
游ゴシック体/YuGothic
Noto Sans JP 
Windows游明朝/Yu Mincho
Noto Serif Japanese
游ゴシック/Yu Gothic
Noto Sans JP 

同じ游書体でもMacは游明朝、Windowsは游明朝と違うフォントです。英語名でもスペースの有無が違っています。

英数字用のフォント

OS明朝体/セリフ体ゴシック体/サンセリフ体
Mac/Windows
共通
Times New Roman
Century
Garamond
Noto serif
Arial
Hlvetica (Helvetica neune)
Noto sans

もちろん他のフォントでもよいのですが、和文フォントでは

  1. 美しい書体であること
  2. スタンダードであり、ポップな書体でないこと
  3. ウェイト(文字の太さのバリエーション)が揃っていること

が条件です。

Macの場合、昔はヒラギノ角ゴシックはW3とW6の2つのウェイトしか入っていませんでしたが、新しいMacからはW4以上の申請書に使える新しいウェイトが増えて便利になりました。

フォントの使い分け

明朝体とゴシック体をうまく使い分けることで、メリハリのついた読みやすい申請書を作ることができます。本文は明朝体、見出しはゴシック体が基本です。

大見出しと小見出しをつけ、区別したい場合は、ウェイトの差でメリハリをつけます。大見出しと小見出しに分けない場合はヒラギノ角ゴシックW4とヒラギノ明朝W2の組み合わせで良いでしょう。

私はMacなので、ヒラギノを使っていますが、ヒラギノ明朝W3は少し太く字面が黒くなりがちです。またヒラギノ角ゴシックW3との差をはっきりさせたいので、もしフォントを購入しても良いのであれば、ヒラギノ明朝W2を使用することをおすすめします(私もポケットマネーで買って使っています)。上に比べて、下の角ゴW3と明朝W2の組み合わせの方が、見出しと本文の差がはっきりしていることがわかるかと思います。

私は、Mac→Winに切り替えたので、游明朝・游ゴシックを主に使っています。

単なる太字ではいけないのか

基本的には太字でも構いません。構いませんが、Wordの太字機能を使うと、以下のようにフォントによっては幅が広くなってバランスが崩れたり、細かいところが潰れたりしてしまいますので、こだわるのであれば強調は太字で表現するのではなくウェイトで表現するようにします。

また、様々な太さがあると、大見出し・小見出しというような使い分けもできます。申請書に実際に使うのはせいぜい角ゴW3~W5くらいまでですけどね。W6以上はかなり太いですし、W2以下は本文の明朝体とのバランスがとれません。

他にも下線や網掛け、枠囲みなどいろいろ装飾がありますが、これらは全てうるさくなるだけですので、使用には慎重にならなければいけません。私は基本的にはこれらを使いません。あちこち強調すると、結局何が重要なのかが、どんどんボヤケていきます。文の一部を強調したい場合は、単にゴシック体にするだけでも十分に目立ちます。

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