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おもしろい研究のアイディアはどこから来るのか?

現実の生活や日々の経験から学ぶ

観察や経験を通して不思議だなと思うことを、そのままにしておかないことから研究は始まります。現実の生活や日々の経験から学ぶことの重要性は多くの研究者が強調しています。

過去の文献で述べられている問題に取り組むことは非常に簡単です。他者の行ったどのような研究に対してもそれを拡張したり、競合仮説を考えたり、実験上の問題を直したりして研究を進めて論文を生産することはできます。しかし、そのやり方でどんどん研究を続けて行けば行くほど、その研究の貢献度は低くなっていくのです(全体としては些末なことに努力が向かうということ)。多くの場合、最良の研究は、全ての人が既に見ている根本的な現象で、しかし誰もそれを十分に分析したり理解したりしていないような現象を取り上げることです。それが、創造的でありかつ現実に根づいた研究をするための方法だと思います。

データをよく見る

創造的な研究をするためには、既存の理論や仮説にとらわれずにデータから学ぶというスタイルを取ることが重要です。データと理論の柔軟な相互作用が大切です。

実験は単にフォーマルな観察方法にすぎないのです。もし様式だけに気を取られて、真の目的である◯◯を理解することを忘れてしまったら、大したことはできないでしょう。たとえば、コンピュータを使って自分のデータについてあらゆる統計解析を行うことが可能ですが、統計解析の結果だけを眺めて、生のデータに目を向けることを忘れてしまえば、対象の深い理解には結びつかないでしょう。私たちは生のデータや現象そのものを目の前に置いておき、常にそこに帰ることが大切なのです。そして、そこに規則性や一般性を見つけだしたら、「どのような個々の現象から、このような法則性が出てくるのだろうか」 自分に問いかけることが重要なのです。「生のデータを深く知ること」に取って代わるものは何もないのです。

自分が集めたデータを様々な角度がら見つめ直しているときに、研究のアイデイアが浮かんできます。たとえデータの中にたくさんの有意差が得られても、本質的ではない変数によって起こつていることが多いものです。私は、データをいろんなやり方で図表化し、「専門分野外の研究者なら、この課題に関してどのように考えるだろうか」と想像します。そして、データの多くの側面を知るようになればなるほど、データの中に隠されていて自分が考えたこともなかったようなアイデイアが浮かび上がってくるものです。

データを分析をするときには、データ駆動型すなわちボトムアップのスタイルをとる必要がありますが、同時に理論駆動型すなわちトップダウンでもある必要があります。二つの方向が一緒にぶつかり合うところが必要で、そこで両者を結びつけるような概念を形成することができるのです。

歴史から学ぶ

研究の理論や方法論は時代とともに変化してきましたが、学問の根底に横たわる基本的な問いは、ずっと変わっていません。その意味では、先人たちが解決しようとした諸問題に目を向け、それらに最新のアプローチで取り組むことは、研究のアイデアを生み出すための有効なやり方の一つです。

どんな科学でも、本質的に重要な一群の問題があります。ほとんどの問題は学史上の初期の頃に問いかけられたものです。ある時期にはある種の問題が、そして別の時期には別の問題が焦点を当てられてきました。すでに焦点が当てられてきた問題について新しい貢献 をするような研究も大切だと思いますが、もっと面白い研究は、重要だけれどもこれまで焦点が当てられてこなかったような問題に目を向け、新しい概念や方法を使って今までの研究では解明できなかったことを明らかにするような研究です。

あるアイデアが忘れ去られたのは、そのアイディアがうまくいかなかったからではなく、時代の要請に合わなかったり、技術的に足りていなかったりしていたためであることも、往々にしてあります。だから、昔のアイデアの多くは今でも当時と同じように重要です。そして、現代のアイデアの多くは、昔のアイデアを焼さ直しただけなのです。だから、学問の歴史は、現在と未来について教えてくれるものなのです。

出典:http://www.p.u-tokyo.ac.jp/okadalab/pdf/omoro.pdf

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