① これまでの研究の背景、問題点、解決方策、研究目的、研究方法、特色と独創的な点について当該分野の重要文献を挙げて記述してください。 ② 申請者のこれまでの研究経過及び得られた結果について、問題点を含め①で記載したことと関連づけて説明してください。なお、これまでの研究結果を論文あるいは学会等で発表している場合には、申請者が担当した部分を明らかにして、それらの内容を記述してください。
いきなり本題に入っても読み手はついていけません。まずは研究の背景を簡単に説明しましょう。背景には自分の研究分野および周辺分野を含めた広い背景と自分の研究内容を説明するための狭い背景があります。
砂時計のように、広い背景から説明を始め自然な流れで狭い背景へとつなぎ、その先の自分の研究へとつなげます。
広い背景
広い背景は、想定される読み手のレベルから考えて無理なく理解できるところから始める必要があります。学振は主に大学の先生が審査員ですので、ある程度の前提知識を想定した書き方にしても構いません。たとえば、
時々、すごく丁寧に背景を説明する申請書も見かけますが、(1)分野外の審査員が知っているところの説明はくどいだけで、マイナスの効果しか生まない。
(2)審査員もしらないような細かいところはどうせ伝わらないし、伝えたところで申請書を審査する上で対して重要ではない。
(3)自分の研究の説明によりスペースを割いた方がアピールになる。
という3つの理由によりやめたほうが良いです。最低限の情報は残しつつ極力シンプルに説明してください。
説明すべき内容は
- この分野がどういう状況なのかを端的に示す
- この分野の重要性を端的に示す
の2点です。分野の重要性という時には2パターンあり得ます。もっとも良くあるパターンは
狭い背景
広い背景を説明したところで、まだ扱う範囲が広すぎて今回の研究内容とは乖離があります。上記例で言えば、「XXX病をなんとかしたいんだな」というのはなんとなく伝わるにしても、どういうアプローチを取るのかについては様々な可能性があるので、わかりません。この部分を狭い背景で説明していきます。
このように、共通の広い背景から、様々な方面へ論を展開できてしまいますので、この狭い部分の背景でしっかりと議論の方向性を定めることが重要です。あれもこれもと書いて、結局何を問題にしたいのかがわからないようになるのは最悪です。
しかし、いずれの場合も狭い背景では、何がわかっていて何がわかっていないかを明確にすることです。これを書いておくことで、読み手はこの「わかっていない部分」を解決したいんだなという風に意識します。逆に言えば、この「わかっていない部分」は実際にやった結果から逆算して書くと良いでしょう。