学振の審査には一次選考(書類選考)と二次選考(面接選考)からなっています。面接免除の枠も設けられていることから、ボーダーラインの申請者を面接で評価するということになっていると思われます。一次選考は6人の選考委員による書類審査で、だいたい8月〜9月頃に行われているようです。
学振研究員に求められる資質
(1) 学術の将来を担う優れた研究者となることが十分期待できること。
(2) 自身の研究課題設定に至る背景が示されており、かつその着想が優れていること。また、研究の方法にオリジナリティがあり、自身の研究課題の今後の展望が示されていること。
(3) 研究を遂行する能力が優れていること。
(4) 特別研究員ーPDについては、博士課程での研究の単なる継続ではなく、新たな研究環境に身を置いて自らの研究者としての能力を一層伸ばす意欲が見られること。
(5) 特別研究員-PDについては、やむを得ない事由がある場合を除き、大学院博士課程在学当時(修士課程として取り扱われる大学院博士課程前期は含まない)の所属研究機関(出身研究機関)を受入研究機関に選定する者、及び大学院博士課程在学当時の学籍上の研究指導者を受入研究者に選定する者は採用しない。
学振の審査基準(1段階目)
以下の項目に対して、絶対評価により5段階の評点(5:非常に優れている、4:優れている、3:良好である、2:普通である、1:見劣りする)を付します。最終的に、上記の各項目の点数を踏まえて、総合的に研究者としての資質及び能力を判断した上で、書面審査セット内での相対評価により5段階の評点(5:採用を強く推奨する、4:採用を推奨する、3:採用してもよい、2:採用に躊躇する、1:採用を推奨しない)を付します。
審査基準の詳細に関しても大項目は示されていますが、具体的な基準は一切公表されていません。
①「研究者としての資質」
- 学術の将来を担う優れた研究者となることが十分期待できること。
②「着想およびオリジナリティ」
- 研究計画が具体的であり、優れていること。
- 研究計画を遂行する上で、当初計画どおりに進まないときの対応など、多方面からの検討状況は考慮されているか(科研費の審査基準より)。
③「研究遂行能力」について
- 研究業績が優れており、研究計画を遂行できる能力及び当該研究の準備状況が示されていること。
- 学術の将来を担う優れた研究者となることが十分期待できること。
【1段階目の審査における総合評点】
評価基準が科研費ほど詳しく公表されているわけではありませんので、かなりの推測を含んでいますが、学振の評価が科研費とほぼ同じ仕組みであるとすると、5段階評価の分布は以下のようになります。評定基準の文言が科研費と異なっているのが面白いですね。
評点区分 | 評定基準 | 評点分布の目安(推測) |
5 | 採用を強く推奨する | 10% |
4 | 採用を推奨する | 20% |
3 | 採用してもよい | 40% |
2 | 採用に躊躇する | 20% |
1 | 採用を推奨しない | 10% |
– | 利害関係があるので判定できない | – |
学振の審査基準(2段階目)
書面合議審査
書面合議・面接審査区分別部会(人文学、社会科学、数物系科学、化学、工学系科学、情報学、生物系科学、農学・環境学、医歯薬学の9つ)にて、上記の書面審査の各評点に基づき、選考を行います。
特別研究員-DC1、特別研究員-DC2、特別研究員-PD
合議により、第一次採用内定者(面接を免除して採用内定とする者)と面接候補者の選定を行います。
特別研究員-RPD
合議により、第一次採用内定者及び補欠者の選定を行います。ただし、合議審査で必要であると判断された場合のみ、第一次採用内定者、補欠者の他に、追加書類選考者の選定を行います。
なお、第一次選考(書類選考)の不合格者には、特別研究員等審査会における各審査項目の評価及び当該書面合議・面接審査区分におけるおおよその順位を電子申請システムにより開示します。
特別研究員-PD、DCの第二次選考(面接選考)
委員及び専門委員で構成される書面合議・面接審査区分別の部会において、1人当たり10分間の面接が行われます。最初の4分間で、面接候補者自身がこれまでの研究状況と今後の研究計画について説明した後、残りの時間で審査員との質疑応答が行われます。この審査では、第二次採用内定者と補欠者の選定を行います。
特別研究員-RPDの第二次選考(追加書類選考)
書面合議・面接審査区分別の部会において、追加審査書類(委員が個々の追加書類選考者に指定した様式)や申請書をもとに審査し、第二次採用内定者及び補欠者の選定を行います。