(3) 研究の特色・独創的な点 次の項目について記載してください。① これまでの先行研究等があれば、それらと比較して、本研究の特色、着眼点、独創的な点 ② 国内外の関連する研究の中での当該研究の位置づけ、意義 ③ 本研究が完成したとき予想されるインパクト及び将来の見通し
【現在までの研究】における特色と独創的な点は成果に対して「ここがすごい」「こういうことに役立つ」と言えたのに対して、ここでは計画段階の研究において特色と独創的な点を述べねばならずハードルが高いと感じる人が多いようです。
特色や独創性という言葉とは違う視点から見てみましょう
当該研究の位置づけ
「この研究は、XXXを明らかにするものである」という文章を書くとして、自分なりに考えてみてください。では、そのことはこれまでの研究の流れにどう位置づけられるのでしょうか?これまで疑問とされてきたことを明らかにするものでしょうか?それとも、これまで誰も思いつかなかったことを明らかにしようとすものでしょうか?あるいは視点を変えて、これまでの研究の流れをさらに進めるものでしょうか?これまでの研究に大幅な見直しを迫るものでしょうか?このように研究の位置づけといってもいろいろな切り口が考えられます。他には、2つ以上の研究を結びつけるもの?研究に新たな視点・解釈を加えるもの?新たな研究分野を生み出すもの?
これまでの研究と比較することで今回の研究を相対的に位置づけるということは、研究を特色づけることであり、研究の特色そのものです。位置づけは書かないといけないので、まずはこれを特色として書いてしまいましょう。先行研究や関連研究を引用しながら書くと書きやすいかと思います。
着眼点
本当に新しい着眼点であれば独創性として紹介すれば良いですし、そこまででもない(そのこと自体は普通)の着眼点であれば特色として紹介すれば良いでしょう。まだ見ぬ結果について書くことはできませんので、自ずと研究の特徴をアピールするためには着眼点や方法にフォーカスすることになります。特に技術的に新しくない場合、その対象を選んだことや研究アプローチ、研究の着眼点などで勝負することになります。
人と同じものを同じように見ていては新しさは出せません。この研究が新しいというからには、見る対象か見る方向なのか見方なのか何かが新しくある必要があり、それこそが着眼点です。
その他
特色や独創性に書けそうなことは他に、
- 先進性: これまでのデータの蓄積や知見の蓄積があり、他よりも早く遠くまで行ける
- 独自性: 独自の技術・材料・装置があるため他の人には真似できない
- アイデア: 着眼点とは別に工夫や
- チーム: 一人では出来ないこともチームを組めば可能になる(主に特色)
- 規模・網羅性: アイデア自体はありふれていても大規模であったり、網羅的であったりすれば価値が高まる
などが考えられます。
本研究が完成したとき予想されるインパクト及び将来の見通し
ここは展望を書くところです。研究分野内外に対するインパクトと研究分野だけでなくより広く成果が展開される将来の見通しを分けて考えましょう。
分野内に対するインパクトは、分野内で懸案の問題に答えを出した、分野のこれからの研究の方向性を決定づけた(見直しを迫った)、分野の新たな展開を示した、などです。
分野外に対するインパクトは、この手法・アプローチ・考え方は関連する他の分野にも適用可能である。今回、明らかになるであろう結果は他の分野にも影響をもたらす、などです。
将来の見通しは、この方法によりXXXが解決すると期待される、YYYの基礎的データが得られる、ZZZを明らかにする重要な一歩となる、などです。