学振の採択率と傾向

データが利用できる2004年以降の学振PDおよび学振DC1・DC2の採択率と応募者数を示します。

 学振DCの応募者数と採択率

学振(DC1, DC2)への応募者数の推移

学振(DC)の採択率の推移

DC1の傾向

応募者数は2006年から2023年にかけて全体的に増加傾向にあります。また、採択率も初期の18.9%から徐々に増加し、2010年には30.1%に達しましたが、その後は減少傾向に転じ、2023年には17.3%まで下がっています。(もっと前は約10%でした)

DC2の傾向

応募者数は2006年から2023年にかけて増加傾向を示しています。また、採択率も2006年の14.4%から増加し、2010年には30.1%に達しましたが、その後はゆるやかな減少傾向にあり、2023年には18.5%になっています。

総合分析

両カテゴリーとも応募者数は増加していますが、採択率は2010年をピークに減少しています。これはプログラムの競争が年々激しくなっていることを示唆しています。DC1の採択率の減少はDC2に比べてやや大きいですが、両者とも似た傾向を示しています。

応募者数の増加にも関わらず採択率が減少していることは、より多くの応募者が競争に参加しているが、採択される割合は減っていることを意味します。これらのデータから、応募者数の増加が採択率の低下を引き起こしている可能性があります。また、プログラム自体の選択性が高まっているか、応募者の質が向上している可能性も考えられます。

採用状況|特別研究員|日本学術振興会 (jsps.go.jp)

学振PDの応募者数と採択率

学振(PD)への応募者数の推移

学振(PD)の採択率の推移

学振PD

応募者数: 2004年の4718人から始まり、2024年には1565人まで一貫して減少しています。この減少は、ここのところの好景気・人手不足に加えて研究分野の人気の低下などが原因だと思われます。

採択率: 初期の約10%台から時間の経過と共に上昇し、2024年には22.2%に達しています。応募者数の減少と比例して採択率が上昇していることから、総支援額自体は大きく変化していないことを示唆しています。

海外学振

応募者数: 2007年からのデータがあり、応募者数は比較的安定していますが、近年では減少傾向が見られます。これはコロナ禍による渡航制限や円安による海外での活動のしにくさ(海外学振は日本円で至急)が大きく影響していると思われます。

採択率: 一貫して高く、特に2019年以降に増加しています。これも学振PDと同じく、応募者数の減少と比例して採択率が上昇していることから、総支援額自体は大きく変化していないことを示唆しています。

学振RPD

応募者数: 2006年からのデータがあり、応募者数は比較的安定しているものの、2024年には過去最低の152人を記録しています。この傾向は、プログラムの魅力の減少や、他の選択肢の存在などが原因かもしれません。この数字は制度の存続が危ぶまれるレベルです。

採択率: 2006年からのデータでは後期に特に大きな増加を見せており、2024年には最高値の48%を記録しています。これはプログラムの競争力の低下が大きく影響しています。48%もの採択率はバグレベルです。

採用状況|特別研究員|日本学術振興会 (jsps.go.jp)

申請・採用状況 | 海外特別研究員|日本学術振興会 (jsps.go.jp)

ますます、申請書の書き方の重要性が高まってきている

学振DCの応募者数は増加し、採択率は低下しています。おそらく採択率20%を目標値とした調整の結果だと思われます。競争が激しいにもかかわらず業績に差がつきにくい学振DCでは、しっかりとした申請書を書くことが採否を決めることでしょう。

一方、学振PDについては、応募者数が減少し、採択率も高めで安定している傾向にあります。とはいえ、もともと優秀であると考えられる層の20%ですので、今後も数少ない学振PDのポジションを巡っての熾烈な争いは続きそうです。長期採用の動きもありますので、今後も学振PDの魅力は失われることは無いでしょう。業績もさることながら、申請書の書き方で取りこぼしの無いようにしないといけません。海外学振であれば、さらに採択率高めなので、海外に行っても良いと思える人はそちらがおすすめです。楽しいですよ、海外。

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