着想・アイデアはゼロから生まれませんので、その着想がどこからやってきたのかを説明する必要があります(「散歩をしていたら…」、「あるときふっと…」では説得力がありません)。また、本研究がどのような意味を持っているのかは、申請者自身が説明しないといけません。
申請書 上部の注意書き
科研費:
冒頭にその概要を簡潔にまとめて記述し、本文には、(1)本研究の学術的背景、研究課題の核心をなす学術的「問い」、(2)本研究の目的および学術的独自性と創造性、(3)本研究の着想に至った経緯や、関連する国内外の研究動向と本研究の位置づけ、(4)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか、(5)本研究の目的を達成するための準備状況、について具体的かつ明確に記述すること。本研究を研究分担者とともに行う場合は、研究代表者、研究分担者の具体的な役割を記述してください(若手には記載なし)。
学振:
特別研究員として取り組む研究の位置づけについて、当該分野の状況や課題等の背景、並びに本研究計画の着想に至った経緯も含めて記入してください。
書き方の解説
「着想の経緯と位置づけ」の流れ
- この問題に関連した国内外の研究動向申請者(ら)のこれまでの研究の紹介
- 関連する申請者(ら)のこれまでの研究の紹介
- 問題解決のためのアイデア
- (そのアイデアがうまくいくと考える根拠)
- これまでの研究と本研究の対比
- 本研究はどういった研究であると言えるのか
関連する国内外の研究動向
- これまでに、○○○を用いた解析事例として○○○により○○○を明らかにした例や、○○○の特性を○○○で検討した例が報告されている。
- ○○○によって指摘されているように、○○○にはさまざまな定義や意味があり、その一つに「○○○」が挙げられる。本研究で扱う○○○は、○○○の○○○を表すものである。
- ○○○を実現するため、○○○研究が盛んに行われている。例えば、○○○の機能解析(○○○et al., 2022)や○○○の特性解析(○○○et al., 2000)などは、○○○による解析がうまくいき、○○○が明らかとなった例である。
この問題に関連した申請者(ら)のこれまでの研究の紹介
- これまでに、○○○を用いた解析事例として○○○により○○○を明らかにした例や、○○○の特性を○○○で検討した例が報告されている。
- 博士研究では、○○○を対象とし、○○○の○○○に取り組んだ。その結果、○○○における○○○は○○○されていることを明らかになった[引用文献]。
- 申請者も、○○○において,○○○が○○○でることを明らかにした。
問題解決のためのアイデア
これまでの研究から、アイデアの根拠が明らかである場合は、省略可能ですが、「誰もが思いつきうるアイデアなのに、それがまだ実現されていないのは、そのアイデア・対象に価値が無いからではないか?」という声があることを常に意識しておいてください。
- ○○○は○○○であることが知られており、必ずしも○○○ではない。このことから、○○○の中にも、○○○が必ずしも○○○とはならない例が存在するのではないかと考えた。
- この結果から、申請者らは○○○は○○○では異った病原性をもち、○○○へ感染していくのではないかと着想した。
そのアイデアがうまくいくと考える根拠
- しかし、○○○の理解が大きく進んだ一方で、○○○における○○○については、20年以上進展がなかった。
- 近年、多くの遺伝性疾患の原因となる○○○の正常化を標的とした治療法が開発されつつあるものの、○○○症候群では原因○○○の機能を評価し創薬に利用するための有用なモデルは存在しない。
これまでの研究と本研究の対比
- これまでの研究は主に○○○を用いて行われており、○○○の病態を反映しているとはいいがたい。これに対して本研究は、○○○を用いることで、○○○をより反映した方法で○○○の作用機序を解明するものであり、…
- これまで○○○の研究は○○○と○○○のそれぞれの観点から実施されてきた。これに対して本研究は、申請者が明らかにした○○○を用いることで、○○○と○○○を統合する。
本研究はどういった研究であると言えるのか
既存の流れの深化する研究である、全く新しいアプローチ、同じものを違う側面から解析する、基礎と応用をつなぐ、2つ以上の研究を統合する、分野の常識に見直しを迫る、複数の意味を持つ、体系的な理解を目指す、まったく新しい価値を創造し、これからの研究の方向性を決定づける、etc
- これまでの研究は○○○を示そうとしてきたが、その試みはことごとく失敗してきた。これに対して本研究は○○○が○○○であることに着目し、○○○を○○○の観点から見直す全く新しいアプローチである。
- ○○○は○○○であることを前提にこれまでの研究は展開されてきた。しかし、本研究により、○○○が○○○であることが証明されれば、これまでの常識は大幅に覆されることになり、これまでの常識に見直しを迫る研究となり得る。
- 本研究は○○○の○○○を明らかにする基礎研究であるだけでなく、○○○と○○○をつなぐ橋渡し的な研究でもある。
- これまで異なる研究分野として認識されてきた○○○学と○○○学を統合し、より体系的な理解を目指し、新しい研究の潮流を生み出すものである。
- 本研究は、これまでには無かった全く新しい発想により、○○○の○○○という、これからの研究の方向性を決定づけるものである。
書き方例
申請者はこれまでに、C末端にGFPを付加したFvTox1(FvTox1-GFP)を発現する植物を作出しており、機能的であることを確認しており、質量分析によりFvTox1-GFPと相互作用するタンパク質を27種同定している。(この問題に関連した申請者(ら)のこれまでの研究の紹介)
さらに、そのうちの一部の因子については植物の病害応答に関与することがすでに報告されている。(関連する国内外の研究動向)
こうしたことから、FvTox1と相互作用する因子の構造を詳細に解析し、それをもとにした人工的な相互作用因子を作成することで、FvTox1の機能抑制を介してSDSの発症予防を実現できると考えた。(問題解決のためのアイデア)
実際、申請者はすでに、FvTox1と相互作用する因子の約半分が感染初期の根で特異的に発現誘導されていることをRNA-seq解析から明らかにしている(図1)。(そのアイデアがうまくいくと考える根拠)
本研究は、申請者のこれまでの先進的な取り組みとその成果を基盤とすることで、深刻な問題を引き起こしているダイズの突然死症候群に対して根本的な解決を与えるための重要な基盤となるものと位置づけられる。(本研究はどういった研究であると言えるのか)