読みやすい申請書の重要性

読んで理解できること、読む気になれること、はそれだけで優れています。同じ内容であれば、読みやすく美しい申請書の方が評価されます。内容、構成と同様に表現も重要です。

フォント
フォントには様々な種類がありますが、伝えたい内容や状況により、効果的なフォントは変わってきます。ここでは、申請書を書く際に最適なフォントについて説明します。
余白
申請書の内容を減らしてでも適切に余白を取ることは、可読性を高め、審査員から高い評価を得やすくなります。余白の重要性について説明しています。
修飾語
文章をわかりやすくするためには、修飾語の語順は非常に大切です。ここでは、具体例と共に語順について説明しています。
読点
読みやす文章には、あなたが思っているよりも多く読点が登場します。ここでは、読点の打ち方の基本ルールをおさらいすることで、わかりやすい文章に生まれ変わるためのヒントを紹介しています。
文章のリズム
読みやすい文章にはリズムがあり、そうした申請書は高く評価されます。ここでは、文章にリズムを持たせる具体的なヒントを紹介します。
言葉の選び方
ここでは、申請書においてどのような言葉づかいをするべきかについて説明しています。
漢字かな比
日本語の場合、表現するときには常に複数の選択肢があります。ここでは、どのように言葉を選べば良いのかについて、漢字かな比の観点から説明します。
ら抜き言葉
ら抜き言葉の良し悪しは別として、申請書を美しい日本語で書いておいて損はありません。ここでは、ら抜き言葉の簡単な見分け方を説明しています。
申請書での言葉づかい
ここでは、申請書を書く上で問題のある言葉づかいを挙げ、その言い換え例を示します。基本は「シンプルにわかりやすく」です。

人は騙される

なぜ「読みやすさ」は重要なのでしょうか?申請書に書かれている内容の外で評価が決まるのは、科学的な態度ではありません。しかし、審査員といえども人間である以上、申請書から受ける印象をコントロールすることは不可能です。そして、多くの場合、審査員は「自分は印象では選んでいない」とすら思っているのです。

ここで簡単なクイズをしてみましょう。あまり深く考えずに、パッと答えて下さい。

バットとボールの値段は合計1100円です。
バットはボールより1000円高いです。
では、バットはいくらでしょうか?

 

 

 

 

 

わかりましたか?バットが1050円、ボールが50円ですね。

X+Y=1100, X-Y=1000を解けない人はいませんが、こう聞かれてしまうと多くの人は以下の様な思考経路をたどり、正解に行き着きます。

システム1: ほぼ無意識に、ボールの値段を1100円 – 1000円 = 100円と計算。
システム2: 一応、検算してみるか。 あれ? あ、そうか。

 ここでのシステム1とは無意識での認識であり、私たちは自分が考えた・評価したとすら感じることができません。答えや判断、評価は気づけば頭に浮かんでいます。一方で、システム2は何かおかしいぞと思う時(脳への負荷が高い時)にのみ、意識して働かせることができます。これは、注意を払わない状況では働くことはありません。

ここで言う脳への負荷は「認知容易性」と言います。つまり、

認知が容易(文章が読みやすい・理解しやすい)
 → 脳への負荷が少ない→ システム1しか働かない
 → 情報を真実だと信じやすい
 → 評価を直感的判断に委ねる

という図式が成り立ちます。

申請書にも応用可能な認知容易性

これを申請書に当てはめてみましょう。申請書の評価においては問題の重要性とその実現可能性が大きな評価ポイントになります。一般に実現可能性を信じてもらうには過去の実績が重要ですが、先の話を考えると読みやすさ(認知容易性)を向上させ、審査員がシステム2を働かせなくても良い状況を生み出すことでも達成可能であると考えられます。

みなさんが、読みやすい・わかりやすい申請書を書く必要はまさにここにあります。申請書は相手に伝えるためのものであり、読み手が納得することが何よりも重要です。どんなにすごいことを書いていても、伝わらなければ意味がありません。私たちは申請書の内容に注意を払うのと同程度に申請書をどう伝えるのかにも注意を払う必要があるのです。

 

ダニエル・カーネマンの「ファースト&スロー(上)(下)」には人間の心理がいかにバイアスによって影響されやすいか、そしてそれをコントロールするにはどうすれば良いかが豊富な例と共に紹介されています。申請書に嘘を書いて、それを信じさせることは許されませんが、真実を書いてそれを本当だと思ってもらいやすくする行為に恥じるところはありません。最善を尽くすという意味で、こうした「システム1・2」を含め、申請書に心理学的なアプローチを持ち込むことは面白い試みだと思います。(ちなみにダニエル・カーネマンは不確定な状況下での意思決定論でノーベル経済学賞を取っていますが、科研費審査はまさにそうですよね。)
*「社会的プライミング」については再現性が危ぶまれているようです。詳しくは、手記千号さんのNoteで。
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