2 本研究の着想に至った経緯など 本欄には、 (1)本研究の着想に至った経緯と準備状況、 (2)関連する国内外の研究動向と本研究の位置づけ、について1頁以内で記述すること。
ここは意味がわからないと言っている人を本当によく見ます。
もちろん、こんなことを聞いているわけではありません。背景において問題点を指摘し、それを解決することを目的とし、その具体的な方法や何を示せれば研究がうまくいったと言えるのか(研究のゴール)を指摘してきました。しかし、どうやってその問題を解決するのかについて、なぜその方法ならばうまくいくのか(うまくいくと考えたのか)については説明されていません。また、この問題を解くということは、分野全体で見た時にどのような意義を持つのでしょうか。それらについてまとめて説明してくださいという項目です。研究方法まで説明させておいてから、そもそもそのアイデアがうまくいく根拠やその意義を遡って聞いてくるわけですから、聞く順番が悪いと言わざるを得ず、そりゃあ わかりにくよなと思います。
本研究の着想に至った経緯
まず大前提は、本研究で取り組む問題は
- 技術的・材料的・環境的etcな制約で誰も取り組むことができなかった
- これまで、それが真に重要な問題だとは誰も気づいていなかった
のような類であり学術的独自性があるものです。誰もが思いつくテーマを、誰もが思いつく方法で、何のひねりもなくするという選択肢はありません。
これまでにない新しいことをする以上、これらのうちの少なくとも1つ以上は新しくないといけません。新しいということは前例がないということであり、うまくいくかどうかの保証はありません。他にも、いくつか方法は考えられるかもしれないなかで、なぜその方法を採用するのか、その方法だとうまくいきそうだと考える根拠を示さないといけません。
それこそが「本研究の着想に至った経緯」です。ですので、「急に思いついた」という回答は検討不足であると言っているようなものであり、不十分です。
準備状況
上記にもあるように、着想に至った経緯とは、そのアイデアがうまくいくと考える根拠です。そしてこの根拠の裏付けとなるのは、すでに報告されている研究成果そのもの、あるいは研究成果の組み合わせ・再解釈などだけでなく、申請者が独自に得ている予備データです。これらを組み合わせて示すことで、まだ真の意味ではうまくいくかどうかわからないものの、うまくいきそうであると思ってもらいやすくなります。
その意味で予備データがある場合は事実として背景で扱うのではなく、予備データとして準備状況で扱うほうがインパクトがあります。
また、共同研究の場合は打ち合わせをしている(すでに共同研究を開始している)や、材料の準備は終わっている、実験技術の基礎的なところは確立している、なども準備状況ですので書いておきます。要は、実際に研究が始まった時にスムーズに始められることを示し、しょうもないところで研究に遅れがでないようにちゃんと考えていますよ、というような内容は予備データと同じくここで示しておくと良いでしょう。