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何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか(旧版)

1 研究目的、研究方法など 本欄には、本研究の目的と方法などについて、3(4)頁以内で記述すること。冒頭にその概要を簡潔にまとめて記述し、本文には、(1)本研究の学術的背景、研究課題の核心をなす学術的「問い」、(2)本研究の目的および学術的独自性と創造性、(3)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか、について具体的かつ明確に記述すること。(本研究を研究分担者とともに行う場合は、研究代表者、研究分担者の具体的な役割を記述すること。)

わざわざ「具体的かつ明確に」とあるのところがポイントです。添削をしていても「何を」「どのように」は書けていても「どこまで」が具体的かつ明確に書かれていないものが数多く見られます。

このパートは研究方法を書くパートです。研究代表者と研究分担者の具体的な役割についても、別に項目だてせずに、ここで書いてしまう方がすっきりとして良いかと思います。

XXXの部分については共同研究者のYYYが行う。
申請者は全体の計画のうち、XXXを担当する。

何を

研究対象のことです。多くの人は書けているので、特に問題はないと思います。

本研究は人類の幸福を増加させることを目的に研究を行う
のように漠然としたようなものはダメということです。この場合だと、何を幸福と定義するのかが不明です(何をもって幸福が増加したかと定義するのかは「どこまで」に相当します)。

どのように

研究手法や研究アプローチについてです。時々、やたらと細かく研究の進め方を書いてくる人がいますが、あまり審査員には響きません。

AAAをBBBするときにはCCC社のDDDを用いて30℃で反応を進める……

これがCCC社ではなくてCCC´社であったり、反応温度が30℃ではなく28℃であったとしても、分野外の審査員が研究内容を評価する上ではどうでも良いことです。というか、違いがわかりませんし、それが妥当かどうかもわかりません。

「どのように」は過度に詳しく書かず、大枠でどのようにするかが理解できればOK

程度に思っておけば良いでしょう。あまりに何も書かないと具体性がないとなってしまいますので、バランスなのですけれども

どこまで

ここが問題です。初稿で書けている人はかなり少ない印象です。研究には終わりがないので、やろうと思えばいくらでも研究を継続することが出来てしまいます。しかし、それでは永遠にゴールにたどり着きません。

「どこまで」とは言い換えると「何が示せれば、この研究は完成したと言えるか」「何が明らかになれば、この研究はうまくいったと言えるのか」です。研究のスタート地点は、これまでわかっていることを土台にするため決まっていますが、研究のゴール地点は決まっていません。そして、研究のゴール地点を決めることができるのは申請者だけです。

審査員の仕事は、設定されたゴールが十分に意義があるものか(近すぎないか)、そこに到達できる見込みはあるか(遠すぎないか)を見極め、その妥当性を評価することです。

例えば、「アンケートを実施する」のようにやれば必ずできることを研究のゴール設定されてもあまり響きません。ゴールが近すぎて何かがわかる気がしませんし、どこに研究上の挑戦があるのかもわかりません。一方で、「宇宙の果てを探索する」のようなものは明らかに実現できなさそうなので、これまた現実的ではありません。

しかし、設定されたゴールが遠すぎるかどうかは誰が言うのか予備データがあるのかで説得力が大きく変わってくることに注意してください。たとえば研究を始めたばかりの学生が

世界最高精度の半導体を作る(新人研究者)
と言っても信じてもらえないかもしれませんが、すでに半導体の製造に実績があり高い技術を持っている研究者が
世界最高精度の半導体を作る(ベテラン研究者)

と言えば説得力が変わってきます。その道のプロかどうかはこれまでの実績で判断されますので、ここに説得力を持たせられるかどうかはこれまでの研究をどう説明するかにかかっています。また、予備データや根拠が全くなく。

特に根拠はないけど、ここに徳川埋蔵金があると思うので穴を掘る

というのと

申請者が新たに発見したAAAという資料によると、ここに徳川埋蔵金があると記されている。申請者のこれまでの研究から他の記述も概ね正しいことが明らかにされているため、今回、申請者はここに穴を掘り、徳川埋蔵金を探索する。すでに金属探知機での探査を終えており地下10mに大きな金属反応を確認している。
と書くのは説得力が全然違います。同じゴール設定でも説得力に違いがでてきますので、自分が有利なフィールドで、予備データを用意し、遠すぎないゴールを設定することが重要です。

研究方法と研究計画は似ていますので、意識的に区別する必要があります。同じことを二度書く余裕はありません。研究方法とは、ここで述べたように何を、どのように、どこまで明らかにするか、すなわち「何がわかれば研究がうまくいったと言えるのか」を説明することです。一方で、研究計画は、研究ゴールに到達するための行動計画です。
わかりやすくするために抗がん剤のスクリーニングの研究を考えてみましょう(これだけだとリスク高めなので、現実的ではありませんけど)

研究方法
本研究は、結腸癌由来腸上皮細胞株HT-29細胞に(何を)、化合物ライブラリ中の化合物を投与し細胞の生存率を測ることで(どのように)、生存率が10%以下に低下する化合物を同定し、その作用機序を明らかにする(どこまで)。

研究計画
初年度 HT-29細胞を培養するための最適条件の検討
生存率をハイスループットで計測する技術の確立

R2年度 AAA条件におけるBBBのスクリーニング
マウスへの投与実験およびRNA-seqによる作用機序の解明

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