異なる研究分野でそれぞれ違った研究目的を持つ申請書の優劣を比較することは、りんごとポークチョップ、アイスクリームのおいしさを比較するようなものであり、非常に困難な作業です。そうした際に、価格や栄養、カロリーなどの基準があれば、比較しやすくなります。それこそが、「研究業績・研究遂行能力」欄の意義です。
1. 研究の独自性
2. 研究の創造性
3. 研究の位置づけ
4. 研究業績・研究遂行能力
5. 研究環境
何を書くか
基本的には業績リストであり、数と質がモノをいう世界です。「本研究内容に関係するもの」のような指示がある場合はそれに従うことになりますが、全く別の研究をやっているケースは多くないので、なるべく基準を緩めて多くの業績を書くようにしましょう。原著論文、総説、査読付きの会議、招待講演、受賞歴、著書、特許、メディアでの紹介、学会発表(特に若手は)など、業績を幅広い観点からとらえるようにします。
また、科研費などでは研究業績と呼ばずに研究遂行能力になっていますので、こうした場合は補足説明が必要です。「なぜ、あなたは自分ならこの研究計画をうまく進められると考えているのですか?説明してください。」ということなので、リストを示すだけでは不十分です。なるべく「私はXXXをXXXしてきた(だから私にはこの研究計画を遂行する能力が十分にある)。」までがしっかりと伝わるように補足説明を入れるようにしましょう。ちゃんと書かない限り伝わりませんので、科研費の場合は
前半部:これまでに何をしてきたのか、そのことは本研究を遂行する上でどう役立つのか。
着想の経緯と内容が被りがちなので、同じことの繰り返しにならないように注意する必要があります。
後半部:業績リスト+研究環境
いわゆる業績リストですが、Co-first authorやCorresponding author, Co-corresponding author等の場合はそうであるとわかるように注記を入れる、筆頭著者が多い場合は自分の名前を太字にする(2nd author以降が多い場合は逆効果かも)、雑誌名に注目してもらいたい場合は雑誌名が太字になるようなスタイルを採用する、など工夫が必要です。文献の途中に日本語でこれがどんな仕事なのかを1行程度で補足説明を入れるようなケースもあります。
余白は厳禁なので、文献リスト間の行間や書く内容を調節してぴったりになるようにしてください。文献が多すぎてフォントサイズを極端に小さくしているケースも見受けられますが、フォントサイズを様々に変えると統一感が無くなるので、他n件のようにするなども考えてみてください。
書けることが少ないときに
ここは非常に重要ですが、すぐにはどうしようも無いので、あまりできることはありません。 原著論文や総説・著書以外の業績として報道発表や紹介記事などは挙げておくべきでしょう。特許、受賞歴、国際学会、招待講演など、書けることは意外とあります。ただし、あまりにもどうでも良い雑文を業績として出してもプラスにはなりませんし、心象的にはマイナスです。
リストに挙げる論文が過去5年以内とかに限定されている場合でも、重要論文に限り本文で自己引用することが可能です。これも何でもかんでも引用すると心象的にはマイナスです。