「研究の位置づけ」は「背景」と「特色」の中間的な立ち位置の内容であり、油断すると内容が重複してしまいますので、何を書くべきかをしっかりと理解する必要があります。ここも苦手とする方が多い部分です。
1. 研究の独自性
2. 研究の創造性
3. 研究の位置づけ
4. 研究業績・研究遂行能力
5. 研究環境
位置づけとは何か
位置づけ:全体の中で、特定の要素が持っている役割や意義
たとえば、「本書の位置づけ」とは、他の関連書籍全体の中で、本書はどういうものなのかを明確にするという意味ですし、消防団の位置づけを説明すると「消防団は、火災や大規模災害発生時に自宅や職場から現場へ駆けつけ、その地域での経験を活かした消火活動・救助活動を行う、非常勤特別職の地方公務員です。」となり、これは消火活動に関わる全体の中で消防団がどのような役割や意義を持っているかを説明しています。
「研究の位置づけ」も同様で、本研究が属する分野における研究の中で、あなたの研究はどのような役割や意義を持つのか?について書くことになります。
位置づけに何を書くのか
本研究が属する分野における研究の中で、あなたの研究はどのような役割や意義を持つのか?について書くのですから、位置づけの基本的な構文は
「本研究が属する分野におけるその他の研究」を定義する
冒頭でも述べたように「研究の位置づけ」は「背景」の要素を持っており、それがこの部分です。自分の研究を他と区別するためには、まず「その他の大多数の研究」を定義する必要があります。
- これまでの研究はXXXをXXXの観点から解析することが主流であった
- これまでにもXXXをXXXする試みはなされてきた
- これまではXXXによってXXXを解析し、XXXについては明らかにされてきた
「研究の背景」の書き方の「研究ポイント3:これまでの研究の達成点を示す」で書く内容とかなり似ていることがわかると思います。ただし、ここで書くべき内容は本研究のウリとの決定的な違い、についてに限られます。新たな視点を持ったことが本研究の意義なのであれば、その他の研究はある特定の視点しか持ってこなかったことを書くことになります。
本研究の役割・意義を明確にする
「研究の位置づけ」は「特色」の要素も持っており、それがこの部分です。この研究を一言で表現するとどんな研究だと言えますか?
・本研究はXXXとYYYを統合し、新たな潮流を生み出す
・本研究は新しい技術により、これまでのXXXをさらに加速させる
・本研究はこれまで着目されてこなかった、XXXに初めて正面から取り組む
上記例のように、本研究は研究分野においてXXXな研究である、という主張を行うことになります。
まとめ
「研究の位置づけ」は、他の研究と比較して本研究の立ち位置・研究スタンスを明確にする作業です。位置づけを明らかにすることで、研究を特徴づけ、だから本研究はすごい・重要であるという主張をサポートします。