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研究目的、研究計画など(概要)(旧版)

研究の目的と方法などについて、概要を10行程度(400字程度)で記述します。概要であっても基本構造は同じで、研究の広い背景研究の狭い背景問題点解決方法(アイデア)・根拠具体的方法何をどこまで明らかにするか、の順で書いていきます。

例えばこうです。

 転写因子による遺伝子発現は多細胞の発生過程において、極めて重要である。しばしば、同じ転写因子が異なるcis配列に結合し、異なるタンパク質複合体やタンパク質複合体の構造変化、あるいはそれらの組み合わせにより、異なる働きを示すことで、特異的な細胞運命への決定を制御している。しかし、特定の遺伝子発現プログラムへと導く転写因子複合体の様々な状態を直接可視化することはこれまで困難であった。申請者はこれまでにin vivo FRET-FLIM(蛍光寿命画像顕微鏡による蛍光共鳴エネルギー移動の測定法)を開発しており、これによりタンパク質相互作用の空間的な分布を明らかにすることが可能である。本研究では、観察のしやすさから植物の根に着目し、細胞運命決定過程における細胞運命制御因子が内在性の発現レベルにおいて細胞型特異的な相互作用をしていることを示すことを目的とする。これにより、標的遺伝子の特異的な発現制御とその後の細胞運命決定に細胞タイプ特異的なタンパク質複合体が存在することを明らかにする。

この文章を例に、以下の3つのポイントを見ていきましょう。

ポイント1:広い研究の背景から自分の分野に引き込む

 転写因子による遺伝子発現は多細胞の発生過程において、極めて重要である。しばしば、同じ転写因子が異なるcis配列に結合し、異なるタンパク質複合体やタンパク質複合体の構造変化、あるいはそれらの組み合わせにより、異なる働きを示すことで、特異的な細胞運命への決定を制御している。しかし、特定の遺伝子発現プログラムへと導く転写因子複合体の様々な状態を直接可視化することはこれまで困難であった。申請者はこれまでにin vivo FRET-FLIM(蛍光寿命画像顕微鏡による蛍光共鳴エネルギー移動の測定法)を開発しており、これによりタンパク質相互作用の空間的な分布を明らかにすることが可能である。本研究では、観察のしやすさから植物の根に着目し、細胞運命決定過程における細胞運命制御因子が内在性の発現レベルにおいて細胞型特異的な相互作用をしていることを示すことを目的とする。これにより、標的遺伝子の特異的な発現制御とその後の細胞運命決定に細胞タイプ特異的なタンパク質複合体が存在することを明らかにする。

まず、自分の研究が含まれる広い研究領域の重要性を簡潔に示します。これにより、この領域が重要であることを示し、その一部を担っている自分の研究が重要であるということを間接的にアピールするためです。仮に、それほど重要ではない研究領域だと考えていたとしても(その場合、なぜその研究をしているか疑問ですが)、少なくとも申請書の中では「この研究分野は重要である」という立場を貫き通す必要があります。

中には、こうした本音と建前に違和感を覚えてしまい、歯切れの悪い文章を書く例が見られますが、申請者本人が自信のない研究に対して支援する人などいません。指導教員など上司からテーマが与えられている場合は特に、まず、自分の研究領域の面白さを理解することが第一歩だと考えてください。研究歴が浅い場合、研究領域の面白さに気づかないことがあります。あなたにとっては、ネジの研究は地味でつまらないかもしれませんが、NASAにとっては喉から手が出るほど欲しい技術かもしれません。

繰り返しになりますが、多少無理があっても首尾一貫して研究領域の重要性を主張しないと話が始まりません。割りきってください。

しかし、重要性をアピールしすぎるのも考えものです。問題の重要性に対して、今回の研究計画がショボすぎる場合、逆効果になってしまいますので、あまり大風呂敷を広げずホドホドにすることも重要です。

ポイント2:これまでの研究の問題点をさらりと指摘する

ホゲホゲ病はガン・糖尿病に次いで患者数が多く(適当です)、日本の成人男性の死亡理由の第1位である。しかし、現時点ではホゲホゲ病の根本的な治療方法は存在せず、進行を遅らせるXXX療法には多額の費用がかかり、精神的苦痛を伴う。こうしたことから、ホゲホゲ病の根本的治療方法の確立は喫緊の課題であるが、その原因や発症機構は不明であった。申請者はこれまでに、ホゲホゲ病の原因遺伝子としてHoge1を同定し、その機能について解析してきた。Hoge1は機能未知の転写因子であり、N末端にDNA結合領域を持っている。さらに、・・・

次に、これまでの研究のどこに問題点があったかを示し、それを解決するためにこれまで研究してきたという話の流れにすることで、一般的な背景から専門的な背景の説明へと話を移していきます。問題となっている点は複数あるかとは思いますが、これまでの自分の研究で少なくとも一部が解決できた問題を選ぶべきです。

実際にやったことから、目的を書くので時系列的には順序が逆になっていることに注意してください。こうした技術は論文でもよく使われています。

話の流れによっては、もう少し詳しく問題点を指摘した方がよい場合もあります。しかし、問題点の指摘に終始するのは前向きではないので、審査員が問題点を理解できるようであればさらりと流してしまって良いでしょう。

ポイント3:これまでの自分の研究について述べる

ホゲホゲ病はガン・糖尿病に次いで患者数が多く(適当です)、日本の成人男性の死亡理由の第1位である。しかし、現時点ではホゲホゲ病の根本的な治療方法は存在せず、進行を遅らせるXXX療法には多額の費用がかかり、精神的苦痛を伴う。こうしたことから、ホゲホゲ病の根本的治療方法の確立は喫緊の課題であるが、その原因や発症機構は不明であった。申請者はこれまでに、ホゲホゲ病の原因遺伝子としてHoge1を同定し、その機能について解析してきた。Hoge1は機能未知の転写因子であり、N末端にDNA結合領域を持っている。さらに、・・・

最後に、自分のこれまでの自分の研究について説明します。自分のこれまでの研究を全て書くのではなく、これから申請する内容と関連する部分(ポイント2の「これまでの研究の問題点」との関係)を中心に書いていきます。

そして、次の「何が問題として残っているのか」とも関連しますが、これまでの研究で全てを理解できたという立場を取らないことが重要です。全てが分かったのならば、さらに研究をする必要はありません。

さじ加減として、7-8割は理解できたが、あと少しの理解が足りていない(解決できればバラ色の未来が待っているのに!)、というぐらいの感じで書くと、あとひと押しの支援を求めるという申請書本文とのつながりが自然になります。

学振DC1を申請する修士の学生や研究分野を変えて新しい研究を始めたばかりの人は、これまでの自分の研究についてあまり書くことが無いという状況があり得ます。そういう場合には、自分の研究でなくとも構いませんが、できれば研究室内での研究状況を書くことが望ましいでしょう。

例えば、以下の様な感じでしょうか

ホゲホゲ病はガン・糖尿病に次いで患者数が多く(適当です)、日本の成人男性の死亡理由の第1位である。しかし、現時点ではホゲホゲ病の根本的な治療方法は存在せず、進行を遅らせるXXX療法には多額の費用がかかり、精神的苦痛を伴う。こうしたことから、ホゲホゲ病の根本的治療方法の確立は喫緊の課題であるが、その原因や発症機構は不明であった。申請者の所属する研究室ではこれまでに、ゲホゲ病の原因遺伝子としてHoge1を同定し、その機能について解析してきた。Hoge1は機能未知の転写因子であり、N末端にDNA結合領域を持っている。さらに、・・・

多少なりとも自分のデータがある場合は、(仮にパッとしないデータであっても)そちらも含めて書いた方が良いでしょう。どんなデータでも書きようによってはポジティブに聞こえるものです。前向きに書く技法については、「ネガティブをポジティブに」を見て下さい。

 

まとめ

1.広い研究分野の重要性を述べる

2.未解決問題を指摘し、それに対しての取り組みを述べる

3.これまでに、どこまで達成できているかを述べる

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