そこそこ(60点)の学振申請書が書ける、そこそこテンプレート(PD)で書くべき項目の解説をしています。テンプレートはそこそこの学振申請書が書けるテンプレートからダウンロードしてください。
- 自分が研究している狭い分野ではなく、もっと広い分野における背景を説明します。広い分野とは、後で出てくる「本研究が与えるインパクト」がおよぶ範囲と読み替えても良いです。
- 1で説明した広い分野が抱えている問題点を指摘します。一般に指摘されている問題点は問題が大きすぎて解決できない可能性がありますので、ギリギリ解決できそう、かつ、解決できたときの影響が大きい物を選びます。おもしろくが参考になるかと思います。
- 4で説明する問題が生じている根本的(構造的)な問題をしてきします。とうぜんながら、「やられていないからわかっていない」という理屈はダメです。
- いまのままでは、問題が広すぎる(大きすぎるので)もう少し対象を限定します。で、これからの研究計画との差別化をはかります。
- 今回あつかう問題に目を向けた時に、何がどこまで明らかにされているのかを明確にします。
- 今回あつかう問題点を具体的に示します。
- この問題のせいで起こっている弊害を具体的に示すことで、問題の重要性を説明します。○○○ができない、○○○の全貌を見通せない、○○○で近似されているなどですね。分野を全否定することなく、解決できたらもう少し良い未来になるのに程度がいいかと思います。全否定でもよいですが、その場合は相当なものを提案しないと釣り合いがとれません。
- そのように重要な問題が今まで解かれずにと残っているのには理由があります。それを説明していきますが、ここではそれを理解してもらうための下地作りとして、後の7のための背景を説明します。
- 研究計画前半の核心です。ここが月並だと全体が台無しになります。頭をフル回転させてください。おもしろくで説明しているようなオズボーンのチェックリスト等を使って新しいアイデアを考えてください。ポイントは、あなたらしさです。これまでの研究経歴や所属ラボの得意技術などに由来したものであれば、あなたがする合理的な理由となりますが、これまでとは全く違う背景の場合は、あなたをプロと見なすことは困難ですので、説得力は大幅に低下します。そうした場合でも考え方、研究態度など何かしら芯が一本通っていることをアピールする必要があります。
- さらに扱う対象を限定します。分野全体の問題をあなたが扱いたいテーマにまで落とし込みましたが、実際にやったことはその一部のはずです。なので、扱いたい問題のうちどの部分の何を明らかにしたのかを具体的に説明します。
- 研究課題名1をゴシック体で書き、どのような方法で研究したのかを簡単に説明します。
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- 11と12を併せて明らかにしたこと・開発したもの・検討したことなどを説明します。この辺の文言は内容によって変えてください。
- PDの場合は研究の積み重ねがあるので、15を受けてさらに研究をおこなったというていにして、さらに研究結果の説明をします。
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- 研究課題1の結果をまとめます。
- この研究成果の位置づけ(評価)を説明します。
- 研究課題1と基本構造は同じです。文末をすこしいじってコピペ感がないようにしないといけません。実際書いているとそうはならないと思いますが、全体にわたって○○した。その結果、○○を明らかにしたのような感じが続くと読む方はげんなりしますので、少し抑揚というかリズムをつけることを意識します。
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- 研究課題1と2の結果をまとめて、全体の結論(1)を示します。
- 結論(2)を示します。ここでは、同じような感じにしないために、これまでとの比較を行っています。比較する場合には数値など具体的なことを盛り込むことで説得力を増すと良いでしょう。
- 本研究の位置づけを説明します。ここでは、仮説が予想通り証明されたというバージョンですが、仮説が支持されなかったという場合もあり得ます。ネガティブをポジティブにで説明しているように、そういった場合でもうまく書くことで今後の研究にうまく繋げられます。逆に、あまり全てがうまくいったという書き方をしてしまうと、これからの研究ですることがなくなってしまうということにもつながりかねませんので、無理して全部出来たという必要はありません。出来た部分とできなかった部分を書いて、できなかった部分をこれからの研究計画に書くというのは良いと思います。
- PDの場合は達成したこと2も書きます
- 波及効果も書いておくと良いでしょう
- 学会発表や論文発表がある場合にはここでアピールします。とくにない場合は省略して構いません。
- 研究課題3は現在進行中の課題です。博士号を取ってから応募する場合は現在やっていること(未解決の問題)を書くことで、スムーズにこれからの研究にもっていくことができます。一番困るのはD2で書く場合です。基本的には研究室をかえないといけないので、分野が変わることがあり得ます。この場合はこれからの研究計画と研究課題3のリンクは期待できませんので、ここは例文程度にとどめておいて、以降でフォローする必要はないでしょう。これはこのままで終わりで残り一年でなんとか形にしますという位しか書きようがありません。
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- 現在進行中の課題なので、明確な結論がなくても構いません(結果は必要)。
- 研究の特色と独創的な点です。もう少しスペースを割いても良いかも知れません。現状がミニマムです。ここでは一般性・汎用性について書いていますが、技術や知見の先進性など他にも書くことはあります。研究の特色を参考にしてください。
- 海外学振の場合はこれまでの研究との連続性を書くスペースが無いので、ここでは普通に広い分野の研究背景を説明するだけで良いでしょう。
- 今回あつかう分野における背景も説明します。
- その問題点のうち、これまでの研究でどの部分を明らかにできたのかを研究手法や研究結果と共に説明します(結果的にどの部分が未解決かの説明にもなっている)。
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- ハッキリ言ってしまうとここの根拠は後付です。ただし、合理的である必要があります。
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- (46)をもとに仮説をたてて、説明します。47から48にかけてはゴシック体の太字もしくは重めのフォントで目立たせます。
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- ここもゴシック体+太字もしくは重めのフォントで目立たせます。
- 海外学振は研究の背景を説明するところが少ないので、ここで説明します。スペース無いので詳しくは不要です。
- 研究の方法と具体的にすること
- 55は研究の方法で56は研究手法となっていますが、56は実質、研究の方法2です。55とは別の内容を書きます。
- 55と56をまとめて研究目的を明確にします。
- 海外に行く場合は予備データ無い場合が多いです。こちらからテーマを提案せずに、受け入れラボからテーマが与えられる場合は特にそうです。そうした場合は、受けれ入れ先のボスに事情を話、予備データを貰って下さい。海外の申請書では予備データを書くのが当たり前ですので、すでにプロジェクトとして成立しているということは予備データがある可能性が極めて高いです。
- ここでしか研究背景書けませんので、異分野の審査員にやりたいことを理解してもらえるように分かりやすく書きます。
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- 59,60から考えられる研究のアイデア
- することの概要
- することの詳細。うっかりすると、62と内容が被りがちですので、意識して区別してください。
- 2年しか無い海外学振においてバックアッププランを示すことは極めて重要です。
- いま一度、審査員に背景・問題意識をリマインドします。
- 研究目的というか、研究がうまくいった場合に明らかになると期待されること、ですね。
- 1年目がうまくいったという前提で書いてください。
- 2年目することを書くのですが、せっかく海外に行くので、日本ではできないこととして外国の研究者との共同研究をやることをアピールしています。
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- ここでもバックアップ・プランを示し、堅実な研究計画であることをアピールしています。
- 広い意味での研究分野、もしくは、進んでいる(うまくいっている)研究分野での状況を書きます(翻って、今回扱う研究分野はうまくいっていないという話につなげます)
- 72と対応しており、今回の狭い研究分野における問題を指摘します。72と良い対比になるようにしてください。
- 73の問題による弊害と読みかえても良いです。
- 単に、「◯◯が問題である。本研究は◯◯の問題を解決するという点で新規である」というような繰り返しにならないように気をつけて下さい。ここで書くべきは、その問題に対するアプローチがどのように新奇であるかです。これまでに無いアプローチ・これまでに無い技術・これまでにない材料などです。
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- 海外に行かねばならない理由は後半でも述べますが、ここでも、特色としてアピールします。後の説明と内容がかぶらないように。
- 研究分野。比較的狭い分野の話
- 狭い分野の話が広い分野に大きく影響しているということを書きたい
- この研究で何が新しいのか。どこに工夫があるのか。
- 79と同じ。繰り返しをさけるため、79よりはシンプルにして良いでしょう。
- 狭い分野でのゴールと、そこからの派生で広い分野(一般的な事象)にまでその成果が及ぶことを書きます。
- 研究分野の重要性(そもそも、あなたがその分野を研究する必要性)
- 研究分野の説明
- 研究分野を大きく2つ(△△△と□□□)に分けてしまいます。基礎と応用でも良いですし、隣接する2分野でも良いでしょう。ベン図(もしくはマスターカードのマーク)みたいなイメージです。
- 受け入れラボを選んだ理由1および2として、手法・技術・設備などが唯一無二という点を挙げています。
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- 数字書いてないですが、理由3として知の集積を挙げています。大学や研究所間でも良いですし、大学内でも良いです。または実学と基礎の対話が可能とか、何かしらメリットはあるはずです。受け入れラボに聞くか大学(研究所)のHPを見ればヒントは見つかるでしょう。
- ここも数字ないですが、既に共同研究をしている、指導教官が仲良し、すでにラボ訪問をして自分の研究とこれからの研究に対して議論した、など受け入れに困難を伴わないことを書いておきます。
- 日本の税金で海外に派遣されるわけですので、帰国して日本の科学に貢献したい旨を書いておきます(意味有るかどうかは知りませんが、マイナスにはならないでしょう)。