コツ2 理解してもらう上で必須の情報は何かを考える
「何をどうするか」を書くことはもちろん大切です。ある程度の具体性がないといけません。しかし、詳しすぎる説明は読み手を混乱させ、申請内容を大まかに理解する妨げになります。
詳しい≠わかりやすい、であることに注意!#科研費のコツ pic.twitter.com/EKfqZMG0iO— 科研費.com (@kakenhi_com) February 8, 2022
分野外の審査員に多すぎる情報を渡すと、本当に重要なことを見失わせる可能性があり、逆効果です。そもそも、審査員はあなたの研究分野を詳しく知りたいとは思っていません。
Before
- 会社名、装置名、反応温度や時間などは、本研究計画を理解する上では重要な情報ではない。
- 分野外の審査員からすれば、「30℃!素晴らしい!採用!」あるいは「2時間とはけしからん1時間59分であるべきだ。不採用!」とはならず、「申請者は専門家なのだから、きっと適切な方法で解析するのだろう」という程度の理解であり、詳しく書くことがプラスに働いていない。
- 書いても書かなくても良いのであれば、あえて省略することで全体をすっきりさせ、他に書くべきことに紙面を利用する方が良い。
→こうした理由から、「何を」「どうする」について詳しく書いても研究計画の理解にはつながりません。
After
- 専門家ではない審査員にとって、「何を」「どうする」は評価しづらい一方で、「何が明らかになればこの研究は成功したと考えるのか」「なぜそれをしなければならないのか」「その解析結果はどのような意味を持ちうるのか」「そこで明らかになることは研究目的のどの部分をどのように解決することにつながるのか」については評価可能である。
- 特に、研究のゴール(何が明らかになればこの研究は成功したと考えるのか)をどこに設定するかは申請者自身です。審査員が評価できるのは、そのゴール設定が適切か(目標が小さすぎないか、過大すぎないか)やそこに至るまでの道筋は適切か(ハイリスクすぎないか、プラインBはあるか、研究実績(研究遂行能力)は十分か)など。
- 審査員の理解を助けるために必要な情報は何か、どうすれば評価されやすいか(審査員は評価できるポイントを探している)を考え、適切な情報のみを与える、という姿勢が重要。
→どんなにすごい研究内容であっても、その研究の意義が審査員に伝わらなければ意味がありません。申請書は、知識をひけらかす場でもなければ、論文のように材料・方法について説明する場でもありません。研究の背景やモチベーション、結果が持ちうる意味や意義、どのようにして設定したゴールにたどり着くつもりなのか、をわかりやすく丁寧に書いてください。
穴の掘り方を丁寧に説明されるだけでは、その価値を評価することは難しく、穴を掘ることの重要性・意義、どうなったら成功だと考えているかなどについて説明されないと納得できません。