#科研費のコツ67 抽象的な表現を避け、具体的に書く

研究計画の具体性を高めるコツ

いくつか陥りやすいポイントがあります。

その計画は研究目的のどの部分を達成するものなのか

当たり前ですが、研究計画は研究目的を達成するための具体的な手段です。計画している研究がうまくいったとして、それは研究目的のどの部分を明らかにしたことにつながるのでしょうか?

たとえば、研究目的にがんの撲滅、宇宙の完全な理解、のように大きな目標を掲げている過ぎていると研究計画で明らかになることとの差が目立ちます。そうした場合は「本研究の目的」は適切なサイズに縮小する必要があります。

逆に、研究目的は適切なサイズだが、研究計画が何も言ってなさすぎて物足りない場合があります。

計画1 条件検討(予備調査)
計画2 実験(調査)
計画3 解析(考察)

のようなパターンの場合、計画1や計画3は計画2に付随するものであり、実質的には1つのことしかやっていません。大抵の場合、ある主張をしたいなら同じことを複数の方法で示す必要がありますので、たった1つの研究で研究目的を達成するとは思えません。

こうした計画になっている場合は、ある主張をしたい場合にどれくらいのデータが必要なのかがわかっておらず、経験不足である可能性が考えられます。関連する分野の論文等を読み、どういったデータセットからどれくらいの主張をしているのかを意識して調べてみましょう。

計画の背景が理解できない

申請者にとっては、自分の頭の中で整理されたものを書いていますが、審査員にとっては、あなたの研究計画は初めて読むものですので、どういった背景でその研究計画に至ったのかについては何も知りません。

なぜその研究が必要なのか、その研究をすると何がわかると考えられるのか、どこがポイントなのか、をキチンと説明してください。

「何を・どうする」については書けている人が多い一方で、なぜするのか、それをしたら何がわかると想定されているのか、については十分書かれていない申請書が多いです。

研究のゴールがみえない

この研究計画を実施すればどういう結果が得られると考えているのかが、読み解けないと審査員は混乱します。

  • XXXを対象に、YYYに関するアンケートを実施する。
  • XXX細胞に対してYYY処理を行ったのち、ZZZにより○○○を測定する。

こういった形で止まっている申請書は非常に多いですが、審査員の感想は「で、何?」です。アンケートや測定したからどうだというのでしょうか?

この書き方では

申請者がどういった結果を想定してその研究をしているのかがわからない

申請者は何を知りたくて、何がわかると思ってその研究をするのでしょうか?審査員は研究の背景を詳しく知りませんので、簡単にで良いので説明が必要です。

背景に書いてある、常識的に考えればわかるはず、のように審査員に努力を要求する考え方は捨ててください(審査員だって読みたくないんです)。

「どうなれば研究が『成功した』と判断するのか」の基準がわからない

なるべく具体的に成功や失敗を定義してください。どうなれば、良い結果だと考えているのか、どこを目指しているのか、について審査員と考えを共有するようにしてください。

この際に、成功・失敗の基準は現実的なものであることが条件です。たとえば、

XXXすることで、交通事故を99%削減する。

と書くことは可能でしょうが、成功の基準が高すぎるのでおそらくこの目標は達成できないでしょう。かといって0.01%でも交通事故が減れば成功とする、と書いてしまうと今度は物足りませんし、単に「削減する」だけではあいまいです。また、10%削減するとした時に、なぜ10%なのか、10%で十分削減したと言えるのか、についても言及する必要があります。

研究するという行為そのものが研究目的になってしまっている場合、これは書けません。書きにくいなと思ったら、手段が研究目的になってしまっていないかを見直して見てください。

バックアッププラン、予備データがない

未知のものごとに挑戦する研究において、何が正解かは誰もわかりませんが、リスクの高い研究は確実に存在します。そうした場合に、最初の方で研究がうまくいかず以降ですることがなくなったといった事態に陥ると目も当てられません。

バックアッププランや予備データはそうした疑念に対しての保険として機能します。

バックアッププラン(プランB)

本サイトでは3つくらいの研究計画を推奨していますが、1つか2つの鍵となる研究についてはバックアッププランを提示しておくと安心です。とくに、そこで得られた結果や知見を以降で利用するタイプの研究計画の場合は必ずバックアッププランを用意しましょう。

ときどき、バックアッププランもまたリスクの高いものとなっているケースがあります。これについては微妙なところですが、失敗リスクまでを考慮しているという点においては評価対象になるとは思いますが、現実的にはドツボにハマる可能性が残っていますので、申請書とは別に撤退基準を明確にしておく必要がありそうです。

予備データ、未発表データ

予備データ、未発表データは研究の背景で既知のこととして書くことも可能ですが、研究計画で示すほうがお得です。

研究計画で予備データを示すことによって得られる効果は以下の2点です。

研究の方向性の正しさ

予備データが取れ、それが良好である場合「この方向で研究をすることは筋が悪くはなさそうである」という主張につながり、安心感を与えられます。

このときのポイントは、あくまでも予備データであることを強調することです(仮にほとんど完璧なデータを持っていたとしても)。ここで、この実験が終わったとしてしまうと研究することがなくなり、研究計画が書けません。予備実験では良さそうなので、規模を拡大して・異なる条件でやりますよ、と書くのが正解です。

また、論文ではないので、予備データの詳しすぎる記載は不要です。そのため、図もなるべくシンプルに要点を絞って作成してください。論文の図そのままだと、ほとんどの場合、情報量が多すぎます。

研究のゴールまでの近さ

予備データが取れているということは、予備データが無い人よりも研究のゴールに近いことを意味します。また、同時に、この研究に対する本気度や研究遂行能力があることも示せますので、とてもお得です。

 

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