コツ78 箇条書きの出番はかなり少ない
箇条書きは内容の要約には向いている反面、具体的な説明はほとんどできません。申請書において問われているのは、
「何をどうするか」ではなく「なぜするのか、なにをもって成功とするのか」の具体的な根拠です。#科研費のコツ— 科研費.com (@kakenhi_com) April 26, 2022
箇条書きは余計な情報を省いて要点だけを伝えるための技法です。特に複数のものを併記する際には、見やすく情報を提供できます。しかし、箇条書きは情報提供に特化した書き方であるため、申請書における出番は少ないと考えてください。
申請書は説得が目的である
申請書の最大の目的は審査員の説得です。この研究がいかに重要で、今回の研究計画はいかに実現可能性が高いのか、を審査員に納得してもらいお金を出してもらうかが重要です。
そうした場合に、短文の箇条書きで書かれても説得力がうまれません。たとえば、
・腫瘍
・心疾患
・老衰
・脳血管疾患
・肺炎
と箇条書きでまとめられたところで腫瘍(がん)を研究するモチベーションは理解できません(「1位だから」というのを理由にしてしまうと、2位以下は研究できなくなる)。
また、以下のように研究計画を箇条書きで書く方もいます。
・近交系ラットをXXXより入手する(16匹以上)
・ラットを半分に分けて、片方にXXX処理を行う
・処理後2週間生育させる
・心臓肥大の有無の確認、心組織の免疫染色を行う
・XXX処理の効果を検討する
これはMethodとも言えないMethodであり、何を・どうするかについては何となくわかりますが、なぜそれをするのか、これらの実験から何がわかると考えているのか、どうなればこの実験は成功だと思っているのか、などは全く伝わりません。
こうした審査員に納得してもらうことを考えるのであれば、要点だけを伝えるのでは不十分で、研究背景や予備データを引用しながら、言葉を尽くして論理的に説得する必要があり、それは箇条書きではできないことです。
どんな場合なら、箇条書きがありうるのか
箇条書きは同じ属性のものを並列して示すものですから、研究計画の小見出しなどが考えられます。たとえば、
1.XXXX
2.YYYY
3.ZZZZ
のように先に見出しだけを示しておいて、あとで個別に具体的な研究内容を説明するパターンでは箇条書きが活用できるでしょう。
他には背景において問題点を指摘する場合にも使えます。
1.XXXがXXXであること
2.YYYを使えるケースが限られていること
3.ZZZは稀にZZZを起こすために、結果の信頼性が低いこと
ただし、この場合でもうまくいかない理由をもう少し踏み込んで説明しようとすると箇条書きでは手に負えなくなります。詳しい説明は避けてさらっと示したい場合にのみ使えます。
もっとも一般的な箇条書きは業績リストですが、あの形式が本文中に適用できると考えるひとは少ないでしょう。