申請書を書く経験を積んでいない人の文章には2つの特徴があります。そこを改善すれば、言いたいことがより伝わるようになります。
1.何がわかれば(できれば)嬉しいのか
何がわかれば(できれば)嬉しいのか、あるいは、何がわかれば(できれば)この研究はうまく言ったと思うのか、は研究目的そのものです。しかし、書き慣れていないと「何をするか」ばかりに注目してしまい、肝心の目的が書かれていない事態に陥ります。
その研究でどうなったら、どうだと言うのか(何が言えるのか)
ある一つの実験や解析でわかることは結果であり、結論ではありません。私たちには結論が必要であり、個々の研究結果はそのプロセスにすぎません。(希望的には得られた結論が目的を満たすことですが、ここではそれは問いません。)
しかし、経験が浅い場合、「何をするか」ばかりに注目してしまい、想定される結果が持つ意味を事前に想定していません。
もちろん、事前に予想が立たない場合もあるでしょう。しかし、事前予想が立たない場合でも「何に注目して解析するか」については事前に決めておかなくてはなりません。そして事前に予想したり方針を決めておくことで、事前予想通りだったことをさらに強化できるようにコントロールを工夫したり、実験条件や実験デザインを工夫したりできます。結局のところ、事前予想なしに何かを行うことは不可能であり、事前仮説なしの研究なんてものはありえません。
そのありえないことをしてしまうから、実験結果が出てから、これをどうまとめようかとか、あのデータも併せてとっておくべきだったとか、不備があるからやり直しとか無駄な作業が発生してしまうのです。もし、予想もしなかった結果がでたらおめでとうございます。あなたは、いま、誰もしらないことの扉の前にいます。その結果、事前の準備が無駄になっても全然構わないでしょう?むしろ、こんなにコントロールをとり、実験条件を丁寧にしてもなお、予想とは異なる結果になったことは当初の予想を否定することにつながり、あなたがいま見ていることの正しさを間接的に示すものです。
まとめ
何がわかれば嬉しいのか。何がわかれば実験はうまく言ったといえるのか。研究のゴールを具体的に設定することで研究がブレなくなります。
何がどうなれば、何が言えるのか。研究を始める前に、あなたなりの事前予想(仮説)を立てましょう。そしてそのことを主張したい時に、今の実験デザインで十分なのかを見直しましょう。